会社が加入しているDirectors and Officers Liability(D&O)保険とは

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Q 弊社ではオーストラリア人の役職員からの要望でDirectors and Officers Liability(D&O)保険に会社が加入しています。この保険では会社そのものは補償されないと聞きましたが、D&O保険と同様な補償内容を、会社に対して手当てできる方法はないのでしょうか。
(58歳会社員=男性)

A D&O保険は役員賠償責任保険と呼ばれるように、会社役職員個人の訴訟リスクをカバーする保険です。特にオーストラリアにおいては会社法に定められた会社役職員の責務の取り決めが大変厳しく、また昔から株主訴訟のケースが日本に比べて多いという背景により普及している保険です。また、この保険の主眼は個人に対するカバーとなります。

そこで昨今では、一般的なD&O保険を含めた上で同様なシナリオ下で法人もカバーできるような、より包括的な保険アレンジが可能なManagement Liability保険が一般的になってきています。

Management Liability保険は、保険会社がより商品を魅力的にする目的でさまざまな補償をセットにしたことが始まりともいわれています。しかし会社の規模が大きい場合、Management Liabilityでの引き受けに対して保険会社が多くの条件を付けることもありますので、状況をよく見極めて対応することが重要と言えます。一般的なManagement Liability保険では以下の事項がカバーされます。

Directors and Officers: 役職員を取り巻くリスクにより、役職員個人をカバーする保険

Company Reimbursement: 訴えを受けた役職員を守るために法人が負担した(主に)抗弁費用などを、勝訴した場合に会社宛に払い戻しをする保険

Entity: 法人が役職員同様に、その職務不履行などを理由に訴えを受けた場合の保険

Employment Practice Liability: 法人が役職員同様に、雇用に関わる職務不履行などを理由に訴えを受けた場合の保険

Trustee Liability: 積立年金の運用などに起因して、それに関連した訴えを受けた場合の保険

Crime: 社内の内部犯罪などに伴う実質的な会社の損失への保険

また保険会社によっては上記の事項の他にもTax Audit保険(予定されていない税務監査を受ける場合に会計士などを雇う費用をカバー)や、Internet Liability保険(ネット上の名誉棄損などに起因した損害賠償などをカバー)などもオプションとして同じ契約に含めてアレンジする場合もあります。

通常のD&O保険では役職員個人を守る点に主眼が置かれています。そのため、会社がその個人のために支払った費用はカバーされますが、それ以外の会社を守るために使用された費用は保険ではカバーされないことがあり得ますので注意が必要です。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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