化学品を保管・販売するための環境汚染を対象とした保険について

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Q 現在商社に勤めていますが、新しく化学品の保管・販売を始めるにあたり、日本の本社から環境汚染関連のリスクと保険について調査するように指示を受けました。アメリカなどでの原油流出事故などもあり、環境汚染に対する保険は、なかなか条件も厳しく手配が難しいと聞きました。同保険のオーストラリアにおける一般的な状況はどのようなものなのでしょうか。
(45歳会社員=男性)

A 一般的なオーストラリアでの環境汚染保険アレンジにおいて、突発的な事故については第三者対人・対物賠償責任保険(Public Liability)で限定的にカバーされます。しかしながら、年月をかけてじわじわと汚染が蓄積されるようなケースはその限りではなく、また同賠償責任保険はあくまでも第三者からの損害賠償請求があった場合の法的責任をカバーするという前提となりますので、自身のコストとしての事前・事後の調査費用やモニタリング費用、清掃費用などは保険によるカバーの対象外となります。更には、環境汚染に起因する罰金や制裁金はカバーされず、また原子力、アスベストなど特定の理由による汚染は除外扱いとして設定されています。

また、化学品保管倉庫などでの火災に対し、消火活動後に残る特殊な消火剤を浄化・清掃するコストを施設の管理者・保有者が負担するよう求められた過去の事案では、一見、突発的な環境汚染費用と見なされるため前述の賠償責任保険の補償範囲内で対応ができるかと問われたことがありますが、このような浄化費用を同賠償責任保険における補償(Compensation)の概念・定義の考え方に照らし合わせた結果、保険会社が支払いを断ってきたケースもあります。そのため、通常の賠償責任のみでは有事への対応手段として十分ではなく、包括的に関連リスクをカバーする環境保険の検討が必要だと言えます。通常、環境保険で対象となるケースは以下のような状況が考えられます。

● 有害化学物質や産業廃棄物などの保管、使用を行う場合
● 地下保管タンクなどからの保管物の漏れなどがある場合
● 現在の施設の以前の使用者・所有者が上記のような業務活動を行っていた場合
● 近隣施設で上記のような業務活動が行われている場合
● 保有施設のテナントが上記のような業務活動を行っている場合

また、保険の主な補償対象は以下の通りです。

● 第三者対人・対物賠償責任に起因する補償
● 法定勧告による浄化費用
● 抗弁費用
● 民事制裁金

上記にもありますが、環境汚染リスクは必ずしも現在進行形の自身の事業にのみ起因するのではなく、近隣や過去に行われた他社の行為が原因となる場合もあります。そのため、十分に状況を見極めつつ対応することが重要と言えるでしょう。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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