レストラン開業、賃貸物件に必要な保険の手配とは

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Q この度、独立して自分のレストランをオープンすることになりました。現在、店舗物件の大家より賃貸契約上必要な保険手配の要求を受けていますが、それも含めてどのような点に注意して保険をアレンジをするのが良いのかアドバイスをください。
(39歳飲食業関係者=男性)

A 一般的に、どのような小規模事業であれ手配が必要な保険として考えられるのは、まず法的賠償責任に対する保険。それから物・資産に対する保険及び人に対する保険となり、レストラン向けとして主に考えられるのは以下の種目となります。

● 一般賠償責任及び製造物賠償責任保険(Public and Products Liability)
● 資産財物(火災)保険・ガラス損害含む(Fire & PerilsもしくはISR)
● 事業中断保険(Business Interruption)
● 盗難保険・現金保険(Theft/Burglary)
● 機械保険(Machinery Breakdown)
● 労災保険(Workers Compensation)

法的賠償責任保険は、ご質問にもある通りオフィスや店舗の賃貸契約において大家側から手配を求められるケースが多いのですが、こちらは業務上の過失や義務の不履行により第三者が損害(けがや資産損害)を被ったとして、その損害賠償責任を求めてきた場合の保険となり、レストラン業においては食中毒などを想定した製造物賠償責任(いわゆるPL保険)も含めて考える必要があります。また、ケースによっては大家と共同の被保険者として扱うように要求がある場合もありますが、保険会社によっては要求のまま保険手配をすることに難色を示す可能性もありますので注意が必要です。

資産財物保険はいわゆる火災保険ですが、火災以外にも風水災や落雷、地震などによる自前保有資産への物的損害をカバーします。賃貸契約上求められるガラス(店舗内外)の損害への補償もこちらに含まれるケースがほとんどです。こちらのカバーを手配するに当たって注意が必要なのは、対象とする保険額を設定する際に保有資産全体の現時点における再調達価格を基準にしなければならない点です。もしも全体額よりも低い設定額で保険手配をしたような場合、一部保険と見なされて事故に際する保険金求償時に思ったような保険金の支払いを受けることが出来なくなる可能性があります。

盗難や現金保険については、盗まれやすいハイリスク・アイテムのみを対象とするのが一般的です。引き受け条件にもよりますが、通常は外部からの侵入形跡が明確な場合のみ(ドアやガラスが破られているなど)が対象となり、保険金求償に当たっては現金も含めて盗まれた物を確かに保有していたという証明が求められます。骨董品などについては資産鑑定の証明書が必要となる場合もあります。

機械保険は、例えば冷蔵庫のコンプレッサーが過電圧などで破損したなどの突発的事故による損害を対象とし、それと合わせて冷蔵庫内の食材の損害も補償対象として扱うことも出来ます。またエアコンなどの故障により事業継続が困難になった場合に伴う逸失利益なども保険対象として含めることが可能です。

上記はあくまでも一般的な例となりますので、実際の保険手配の際には各々のビジネスの状況や予算に応じて内容をデザインをすることが望ましく、保険のかけすぎによるコスト増や、保険が手配されていないことによる有事の損害を回避し、効率的にリスク・マネジメントをされるのが理想的と言えます。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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