前テナントが使っていた機械のある食品工場に会社を移転。中古機材でも保障する保険は?

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食品製造事業を行っていますが、現在の工場が手狭になったため移転を検討しています。移転先の候補場所は、以前のテナントが使っていた機械類が据え付けてあり、すぐにでも操業開始できそうなので非常に魅力的ですが、中古のため機械類の保証期間が切れています。そうした場合の機械の故障をカバーする保険はどのようなものがありますか。(54歳自営業=男性)

お問い合わせのような機械類への物理的な損害・損失を補償する保険として、まず考慮すべきは一般的な「財物火災保険」が挙げられます。同保険は、機械類に限らず保有資産全てに対して通常の外的要因(火災、落雷、風水災、地震など)による突発的な損害・損失を補償することができますが、そういった原因ではない機械的・電気的な要因による損害は、通常、補償されません。

そこで別途考慮すべきなのが「機械保険」です。同保険では前述の財物火災保険ではカバーしていない機械設備に対する突発的で予測外の物的損害・損失に伴う修理復旧費用を補償します。機械保険でその対象として主に想定されているのは、例えば製造業における工場の設備やライン、ボイラー、ポンプ、配電盤など、またホスピタリティー業(ホテル、飲食店など)や小売業におけるエアコンやクール・ルーム(冷凍・冷蔵設備)などが一般的です。しかし、オーストラリアの特徴的なケースとして鉱業系事業における現場設備なども機械保険の範疇(はんちゅう)に入っています。

機械保険における突発的な損害・損失とは主にモーターやコンプレッサーの焼き切れ、ショート、スパーク、変形、爆発、過電圧などが想定されており、通常の状態での純粋な老朽化、消耗、定期的なメンテナンス費用は補償されません。また、その対象物としてチューブ、X線管、ヒューズ、バッテリー、研磨工具、金型、タイヤ、コンベヤー・ベルト、ロープ、定期的な交換が必要な部品、寿命が限られている部品などは除外扱いになっているのが一般的です。

また、機械制御での操業に比重が置かれている場合、一次的な物損による損害よりも機械が動かないことによる事業中断からの損害の方が往々にして大きな額になることが考えられます。そのため、機械損害に伴う事業中断から発生する逸失利益損失や、損害対応のために発生した臨時追加費用などを補償に含めることも検討されるのが重要でしょう。

その他に、在庫品が冷蔵・冷凍設備に依存しているのであれば、設備の損害により二次的に在庫に損害が発生することも想定され、そういった補償を特約で付けておくことも突発的な事故への対応策として検討の価値があります。

また保険を導入することで、突発的な事故による不測の支出をある程度予測可能な経費として捉えることができるようになります。そうしてキャッシュ・フローの健全化を図ると共に金融機関からの融資条件を有利に運ぶ一助にも成り得ると言えるでしょう。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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