保険料や引き受け条件が周期的に変化する「トレンド・サイクル」とは

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最近、新聞などで損害保険業のトレンド・サイクルについての記事を読みました。そこでは保険料や引き受け条件が周期的に上下すると書いてあり、確かに自分の保険においても、特に事故を起こしていないのに値上げすることがありました。このトレンド・サイクルについてもう少し詳しく聞かせてください。(23歳男性=学生)

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オーストラリアを含む欧米諸国の自由保険市場においては、保険引き受け価格並びに引き受け可能額(キャパシティー)のサイクルがあり、保険業界では保険の手配が難しいマーケットをハード・マーケット、逆に保険手配が比較的安価で容易にできるマーケットをソフト・マーケットと呼びます。

ハード・マーケットでは、保険料が値上がりしキャパシティーが減少しますが、下図の通りハード・マーケットも長く続くと保険料収入が増え保険会社が保険引き受け成績を回復、競争も活性化し、キャパシティーやカバーも拡大します。

そして、競争が激化すると保険料が値下がりし徐々にマーケットがソフト化します。ソフト・マーケットでは保険料の過当競争を招来し、ここで大きな災害や巨額の損害金支払いがあると、ぎりぎりの採算で営業していた保険会社が一気に赤字や倒産に追い込まれ、保険市場が一転ハード化するのです。

保険市場のサイクルには災害の他に、その国の経済(金利など)及び再保険コストも大きく影響するため、自身の保険契約下で無事故であっても世界中で災害が多発している状況では、全体的なサイクルの影響に引っ張られることになります。

このトレンド・サイクルは地域によっても異なりますし、保険の種目によっても濃淡があります。オーストラリアにおいては2001に当時の業界で2位だった損害保険会社が倒産したことにより、専門職賠償責任保険などの一部種目がアレンジ困難に陥った時がありました。

最近では複数のオーストラリア上場会社に対する株主の集団訴訟案件が頻発し、役員賠償責任保険の保険料に大きな値上げが見られますので、早めに対策を取って効率的な保険手配をすることが望まれます。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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