「IT Liability」というものがあると聞きました

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Q: オーストラリアでIT関連業務に携わっています。この国では関連事業に特化した保険、「IT Liability」というものがあると聞きましたが、どの様な保険で何がカバーされているのか教えてください。
(38歳男性=会社員)

A: 昨今の高度にコンピュータ化された会社業務においては当然ですが、IT関連サービス事業者への依存度は非常に高くなります。そうなると必然的にIT関連業務に携わる事業者が負うであろう責任は重大かつ広範囲となり、そういったリスクを填補するのがIT Liabilityです。

ここで言うところの関連事業者とは 主に以下を指します。

 

◯システム開発・管理業
◯パッケージ・ソフトウェア開発業
◯インターネット・サービス・プロバイダー業
◯ITコンサルタント業
◯ウェブサイト設計業
◯情報処理サービス業

こういった事業者が開発、設計、納入したシステムなりに不具合が生じてその顧客の業務に支障が出た場合、例えば事業が中断したのであればそれによる顧客の逸失利益や、とりあえずの代替処理にかかった追加費用などが実質的な損害と言えます。そういった損害が、システム開発業務に携わった会社側の過失や怠慢によって引き起こされたものだとすると、その損害分の賠償責任を求められることは想像に難くありません。

そこで出番となるのがIT Liability保 険です。

 

以下、想定し得るリスクの一例
◯航空会社のチェックイン・システムに不具合が生じたことにより、飛行機の運航ができなくなる
◯自動車のエンジン制御システムに不具合が発覚して、大規模なリコールが必要となる
◯物流オンライン・システムの不具合により、代替手段を取らざるを得なくなった
◯顧客システムのメンテナンス中に誤ってデータを消去してしまった
◯インターネットを通じて商品販売業をしている会社が、サービス業者側管理のサーバー・ダウンにより一定期間業務を遂行できなくなった

IT Liabilityは、上記のようなケースでサービス関連事業者が損害賠償を求められた時のための保険で、過失・怠慢による損害賠償責任補償のほかに、知的財産権侵害、名誉毀損などに起因するものも対象として含まれる場合もあります。

近年では同保険の必要性は非常に高くなっており、ITサービス提供会社に対して同保険への加入を契約条件に盛り込むような場合も多々見られます。「保険に入るかどうか」というよりも、「補償額がいくらの保険に入るべきか」の検討をすることが一般的になりつつあるのが実状と言えます。

蛇足ながら、一般的な損害賠償責任 保険(Public Liability)ではIT関連も含めた専門的な業務(医師、弁護士、会計士、設計士など)に起因する損害賠償責任については通常除外扱いとなっており、そのために別途専門職賠償責任保険(Professional Indemnity = PI保 険)への手配の必要性が出てくるのですが、今回ご説明したようなIT Liability保険は、その中でも特にIT関連事業に特化した保険であると言えます。


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斉藤 大(さいとう だい)

エーオン・リスク・サービス・オーストラリア・ジャパン保険サービス部
世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日本人顧客の法人・個人保険アレンジ、クレーム処理などを担当。

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