契約会社の倉庫内に保管されたままの商品、有事の際の責任は?

Q 日本企業の現地法人として自社製品の輸入販売をしています。現在代理店との契約内容の見直し作業を行っているのですが、その際に在庫に対する保険手配をどうするのかという点で不透明な個所が出てきました。というのも、現在は既に販売済みで所有権が先方に移った商品が自社倉庫内に保管されたままとなっており、有事の際の責任の所在がはっきりしていません。そういった場合どのような保険的手立てが考えられますでしょうか。
(32歳会社員=男性)

 

A まず、損害保険の基本条件として、保険を掛けるに当たってはInsurable Interestという保険に加入する資格・権利を有することが前提となります。日本語では被保険利益と呼ばれるこの資格・権利は、保険の対象物と被保険者の間に存在する利害関係のことを指します。

ご質問のケースでもそうですが、例えば財物保険の場合には保険の対象となる資産を保有していることが前提条件となり、保険の契約はその資産が罹災した場合の損害を補てんすることとなります。つまり、何かが起きて実際に損害が発生しても、その損害を被保険者が被ることのない場合には被保険利益を有しているとはいえず、保険契約は成り立たちません。

よってご質問のケースでは、既に所有権が第三者に移っている在庫品は被保険利益がある資産とは言えず、通常は所有権を持った先方が適宜保険を手配するというのが一般的な状態だと言えます。

しかしながら、第三者の資産を預かり保有しているようなケースは昨今のビジネス・シーンにおいては珍しくなく、その場合にはお互いの合意・契約によってどちらがどこまでの責任を負うのかという線引きをするのが通常です。その中で例え第三者の保有資産であっても自前の責任として損害を補てんする必要があれば被保険利益を有することとなり、即ち損害保険の対象として扱うことができます。

なお、実際の保険手配では資産の保管場所の設備情報などを持っている自身の保険会社に任せた方がコストを抑えられることが往々にして起こります。

また、財物保険とは別の側面から考えますと、預かり資産(受託品)に損害が発生したということは、一般的な第三者賠償責任保険(Public Liability保険)における、自身の業務上の過失を理由に第三者の資産に損害を与え、その賠償責任を負ったというようなケースに当てはまります。この場合には被保険利益を有することとなり、一般的な賠償責任保険の対象となりますが、その際に注意しなければならないのは、賠償責任保険はあくまでも自身の過失に起因して発生した法的責任を補償するように組み立てられている点です。過失がない・法的責任のない事案に対しては対応が困難となります。

さらに、通常の保険においては預かり資産は純粋な第三者の資産と見なされないのが一般的で、そういった物までを保険対象とするには特約での対応が求められます。

いずれにしても最も重要なことは責任の所在をはっきりさせ、その上で最適な保険アレンジをすることと言えます。

また最後に補足ですが、被保険利益は同時に経済的損害(もしくは相応の損失)の発生を前提としていますので、例えば自分にとっては思い入れのある物であっても金銭的に見積もることができないもの(思い出の写真など)については対象として扱うことができません。併せてご注意ください。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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