保険の見直し・改善「リスク・エンジニアリング」とは

Q 当地で食品卸業を行っております。一昨年冷蔵設備で小さなボヤを起こしましたが、その後、冷蔵倉庫の建材も理由の1つで火災保険の保険料が随分と上がりました。それを受けて本社より事前にリスクマネージメントの一環として潜在するリスクの洗い出しをするように指示を受けましたがどのようなことを行う必要があり、その結果としてはどのようなことが予想されますでしょうか。
(43歳会社員=男性)

 

A 冒頭より若干余談となりますが損害保険はよく賭け事との比較で語られることがあります。両者の決定的な違いは賭け事の場合は一方が事象の発生を望んでいるのに対して、損害保険では双方が事象の発生を望んでいないことにあると言われています。そこで火災保険や賠償責任保険において事象(事故)の発生を事前に抑える、またはそれでも発生した事故による損害を最小限に抑えるために調査、改善などを行いますが、これをリスク・エンジニアリングもしくはリスク・プロファイリングといいます。

昨今、業務活動を行うに当たっては、事前にしっかりとリスクを把握・管理し、洗練され体系立てられたシステムにのっとって企業活動が行われておりますが、それでもビジネスに対して壊滅的な損害が発生することを完全に防ぐことはできません。時にそれは火災であったり、洪水、地震、サイクロンや業務活動を行う上での主要な機械の故障といった事故です。そうした事態に対して事前に何ができるのか、従前より準備をしておくことが重要ですが、その一部手段であり得る損害保険の手配はあくまでも事故後の補償をするためのものであり、事故そのものを防ぐことはできません。そこでリスクの把握・分析を行い、その発生頻度と損失の結果を最小限に抑えるための改善をすることが重要となります。

リスク・エンジニアリングはあらゆる業種の企業にとっても有効な手立てと成り得ますが特に以下のような場合には非常に大きな効果があると考えられます。

・地理的もしくは建物の特性的に損害保険手配が困難とされているようなケース

例えばサイクロンが多発する地域や、建物の一部にアスベストが使われているような場合。もしくはEPSと呼ばれるサンドイッチパネル建材を多用している建物の場合など(ご質問の冷蔵倉庫には多く見られるケースです)

・事故が多発している場合
・小売業やイベント会場などの人の出入りが非常に激しいような場合
・建築設計におけるデザインに関わる場合
・規制などにて求められている場合。職場の安全管理(OH&S)など含む

リスク・エンジニアリングは前述のようなリスクの把握・分析という効果はもとより、その実施をすることより損害保険手配においてより適切なアレンジを可能にすることができるのみならず、よりしっかりした情報を基にすることでさらに競争力のある補償条件を取得することにも寄与します。

さらには調査結果を基にした改善や従業員へのトレーニング、マニュアル化などによる長期的、包括的な取り組みを継続することでその効果を更に推し進めることも重要でしょう。


日豪プレス何でも相談

 

斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る