フリンジ・ベネフィット税(FBT)申告を控えて

税務&会計Review

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アーンスト・アンド・ヤング ジャパン・ビジネス・サービス
雇用関連税務 シニア・コンサルタント 
歐陽慶(Kei Ouyang)

著者プロフィル◎豪州公認会計士。NSW大学大学院卒業後、大手税理士法人に入所。その後豊富な駐在員税務と法人会計管理業務経験を経て昨年8月よりEYシドニー事務所に入所。日本語が堪能。

フリンジ・ベネフィット税(FBT)申告を控えて

オーストラリアでは、フリンジ・ベネフィット税(FBT)が導入されて今年で30年になります。雇用主にとってはおめでたいことではありませんが、FBTはオーストラリアでビジネスを行う際に非常に重要な問題です。必要以上に税金を払わないためにも、雇用主がFBTの規則を正しく理解していることが特に大事になります。今月号では、FBTの概要と最新情報を解説いたします。

FBTの内容は過去12カ月間で大きく変わりましたが、その全てが望ましい変更ではありません。2016FBT課税年度(2015年4月1日~16年3月31日)および2017FBT課税年度(16年4月1日~17年3月31日)の2年間、2%の予算均衡税(時限立法)の導入を受けFBTの税率が引き上げられました(17年4月1日開始FBT年度よりまた引き戻される)。これによりこの期間雇用主はFBT申告を行う際に、より高額のFBTの支払いを求められる可能性が高くなります。また以下に記すように、交際費関連のベネフィットの取り扱いについても、改正が行われています。

FBTとは

まずFBTとは、現金以外の給付に対して支払う税金です。他国でみられる同様の税とは異なり、FBTは(従業員ではなく)雇用主に支払い義務があり、従業員の給与から差し引かれる源泉徴収税とは完全に別物となります。FBTは、オーストラリアのローカルの従業員、または業務目的で海外からオーストラリアへ短期で派遣された従業員に関係なく、オーストラリアで働き給与・賃金を受け取るすべての従業員に対して提供されたベネフィットに適用されます。

新しい税率

15年4月1日から、FBTの税率が変更になりました。これにより雇用主は、2016FBT課税年度の申告を行う際、正しい税率が使用されているかどうか注意深く確認する必要があります。変更点は、以下の通りです。

2015年3月31日締めのFBT課税年度 2016年3月31日締めのFBT課税年度
タイプ1グロス・アップ率* 2.0802 2.1463
タイプ2グロス・アップ率** 1.8868 1.9608
FBT税率 47% 49%

*消費税(GST)の金額を仕入れ税額控除することが認められるベネフィットの場合は、FBT税率を適用する前に、タイプ1グロス・アップ率を掛ける。
**GSTの金額を仕入れ税額控除することが認められないベネフィットの場合は、FBT税率を適用する前に、タイプ2グロス・アップ率を掛ける。

税率の引き上げ幅はそれほど大きくないものの、これにより雇用主が提供するフリンジ・ベネフィット1万豪ドルごとに、追加で740豪ドル近くのFBTが発生することになります。

会食交際とエンターテインメントに関連するベネフィット

会食交際(meal entertainment)関連のフリンジ・ベネフィットは通常、雇用主が従業員及び/またはその家族や友人に対して、飲食物またはレクリエーションの形でエンターテインメントを提供する際に発生します。

日常の業務活動の一環として食事やエンターテインメントが提供される場合であっても、FBTが発生し得ることに留意することが重要となります。例えば、重要顧客とゴルフ(ゴルフ後の食事またはドリンクを含む)をしながら商談を行う幹部従業員が数人会社にいたとします。ここで負担するコストはビジネスに関連しているように見えますが、FBTはここでも適用される可能性があります。

●改善点:
 16年4月1日から、エンターテインメントに関するFBTの規則が変更になります。主な改正点は、サラリー・サクリファイスの取り決めの下で従業員に提供されるエンターテインメントに関連しています。これは従業員が、エンターテインメントに関連するベネフィットを受給する代わりに給料をカットする形で、将来の所得の一部を受け取らないというものです。そのような取り決めの下でエンターテインメントを提供する雇用主は、FBTのコストを算出する際、50/50分割法または12週間記録法を利用することができなくなります。つまり、雇用主がそのようなベネフィットを通常どのように評価するかによって、過年度よりも多額のFBTを支払う可能性が出てきます。またこの改正に関連して、雇用主には16年4月1日から、サラリー・サクリファイスによる会食交際について源泉徴収明細書の中で申告することが義務付けられ、報告義務が増すことになります。これは従業員が、HECSやHELP、または配偶者・子どもの扶養に関連する手当の受給を目的として政府による所得審査を受ける際に、直接的な影響をもたらす可能性があります。

FBTの節税機会

FBT税率が引き上げられ、特定のベネフィットにかかるFBTが増額する恐れのある改正が行われる中、いかにFBTの節税対策を講じるかが、いっそう重要となっています。

●FBTリモデリング:
 この方法は自動車のフリンジ・ベネフィットを提供する企業の間で最も使われていますが、民間医療保険や定期的なクリーニングなど、ほとんどの種類のベネフィットに適用することができます。それは、企業のフリンジ・ベネフィットに対する全体のコストをFBT税率である49%から通常これより低い従業員の所得税率へと引き下げることによって得られます。この方法は従業員の同意を必要としますが、従業員に直接的な負担を強いることなく、雇用主にとっては一般的に節減となります。

●駐車場:
 主要なビジネス地区で従業員に駐車スペースを提供する雇用主には、多くの場合、駐車場フリンジ・ベネフィットが発生します。FBTを算出する計算式上、近隣に位置する商業用駐車場の「デイリー・レート」を入手する必要があります。これは時に困難なプロセスで、雇用主は必ずしも最低レートを使うことができない場合があり、これにより雇用主のFBT支払額が増加する恐れがあります。ただし過年度または当年度により安い「デイリー・レート」が入手できた場合には大幅な節減に結びつき、デイリー・レートが1豪ドル安いだけでも、25台分の駐車スペースの場合では、年間約5,500豪ドルの節減となります。

●少額ベネフィットの免除:
 従業員に不定期で例外的に提供されるほとんどの300豪ドル(GST込)未満のベネフィットは、FBTが免除されます。例として、マッサージ券、ギフト・セット、ハーバー・ブリッジ・クライム、映画や演劇チケットなどがこれに当たります。

●会食交際費の評価方法:
 最も一般的な方法は50/50分割法ですが、多くの場合、実額法(1人当たり)に基づく方法を利用することで、雇用主の大幅な節約につながる可能性があります。これは主に、雇用主が少額ベネフィットの免除(例:クリスマス・パーティー)と敷地内の免除(例:従業員に対するオフィス内での手の込んだ飲食や、事業敷地内においての金曜日のナイト・ドリンクなど)を適用できることが理由です。

ジャパン・ビジネス・サービス・ウェブサイト
ey.com/au/en/JapanBusinessServices

※この記事は出版時の時点で適用される一般的な情報を掲載しており、アドバイスを目的としたものではありません。この情報を基に行動をされる際には、専門家のアドバイスを受けることをお勧めいたします。

コンタクト:

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Tel: (02)9248-5739
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