スマートシティはオーストラリアの経済発展には不可欠

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EY パートナー/ジャパン・ビジネス・サービス
オセアニア/アジア太平洋地域統括 
菊井隆正

プロフィル◎アジア・パシフィックおよびオセアニア地域日系企業担当部門代表。常に監査、会計、税務から投資まで広範囲にわたる最新情報を提供することで、オセアニアで活躍する日系企業に貢献できるよう努めている。

スマートシティはオーストラリアの経済発展には不可欠

都市部には、オーストラリアの大半の仕事や多くの主要経済インフラが集中しています。実際に、80%に上るオーストラリアの経済活動が都市部またはその近隣に集中しています 。現在オーストラリアの都市部は国の経済に8,540億ドルの貢献をしており、2031年までにはその倍のおよそ1.6兆ドルに増加すると予想されています。今月号では、オーストラリアの経済発展には不可欠であるスマートシティについて解説します。

都市部は国の経済の原動力

国民の健全性と経済発展には不可欠

都市部が国の経済の柱になるにつれ、以下のような幾つかのプレッシャーに見舞われています。

人口増加 2036年までに、5人のうち4人のオーストラリアの居住者がシティに住むと予測される。
人口の高齢化 75歳以上の高齢者人口は12年から60年の間で400万人増が見込まれ、総人口に占める割合は6.4%から14.4%に上昇。
混雑・渋滞 シティへの通勤はますます困難に。シドニーでの回避可能な混雑による社会的費用は、15年の61億2,000万ドルから30年には126億ドルに上昇と予測。
住宅購買能力と
スプロール現象
オーストラリアの都市部(特にシドニー、メルボルン、パース)では都市の中心部における急速な住宅価格の上昇に伴い、多くの住民にとって職場付近に住むことは困難に。オーストラリアの家庭は、平均して月給の27%以上を住宅ローンの返済に充てている。徐々に悪化している住宅購買能力が、郊外などの未開発地域の開拓を後押しし、結果として低密度住宅が増え、コストがかさむ新しいインフラのネットワークが必要に。

オーストラリア各地の政府は、スマートで強い都市づくりを目指し、これらのチャレンジを相次ぐ新しい構想をもって対応しています。

連邦政府が掲げた「スマートシティ計画」は、オーストラリアの都市部に対する政府のビジョンを示すものであり、都市部のポテンシャルを最大限に引き出す目的があります。「スマートシティ計画」は以下に基づいています。

1.都市部のインフラに見合ったスマートな投資
2.スマートな都市政策の推進と調整
3. スマートなテクノロジーを用いて、都市部の持続可能性を改善しイノベーションを推進

マルコム・ターンブル連邦首相は、「スマートシティ計画」の一環として毎日住民がかけている通勤(通学)時間を往復1時間以内に減らすことを考慮した、「30-minute cities(30分圏内のシティ)」を設計するための資金援助計画を明らかにしました。この計画には、民間セクターにおけるインフラのファイナンス機構を設立することが含まれており、また主なインフラの計画と開発事業促進費の5,000万ドルの資金提供が含まれています。

スマートシティの構想は、州政府と地方自治体の議題にもなっており、スマートシティに関する新しいアイディアや計画が定期的に話し合われ、議論、発表されています。

スマートシティとは?

「スマートシティ」は、意欲的な政策目標を持ち、幅広いコンセプトを兼ね備えています。本質的には、「スマートシティ」は市民生活の質の向上を目的に、さまざまな手段を用いながら強く、そして更に抵抗力のある街づくりの構築を目指しています。EYの「スマートシティ」への取組みは以下の図表1の通りです。

スマートシティの柱となる指針

データ主導、相互接続・連携、解析・分析、協働、合理的。これらの指針は、アイデアの創出、新しい考え方、そして包括的アプローチを目的とし、それぞれの焦点となっている分野において適用されます。

幅広いテクノロジートレンドや行動トレンド、街のトレンドがスマートシティには不可欠です。以下、図表2のトレンドは、ローカルサービスの配信から都市環境、経済開発といった複数の機会を示しています。

図表2
シティのサービスと都市環境の向上を目指し、テクノロジーを利用して経済開発と住みやすさを促進。
データを通して豊かな洞察力を養い、市民のニーズを満たすために新しく、革新的な方法を実践しながら市民のためのサービスの質の向上を図る。
地方自地体はローカル企業を支援しながら、新しい分野において民間企業と協働しサービスの質の向上を図る。

※本稿の内容は執筆者の個人的見解であり、EYを代表するものではありません。本稿が提供した情報をもとに行動する前に、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。

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コンタクト:

菊井隆正(ナショナル/ニュージーランド)
Tel: (02)9248-5986
Email: takamasa.kikui@au.ey.com

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