原発推進に消極的―ターンブル首相

温室効果ガス削減策として「検討すべき」との声も


 マルコム・ターンブル首相は28日、SA州の地元ラジオ局5AAのインタビューで、原発政策について見解を述べた。首相は、核燃料サイクルの一部を国内で実施する構想について理解を示す一方、国内での原発建設の必要性については消極的な姿勢を示した。公共放送ABCが伝えた。

 首相はSA州の核燃料サイクルに関する独立調査委員会の設立を歓迎するとした上で、「ウランの生産から精錬、核燃料棒の生産と海外への輸出、使用済み核燃料の逆輸入と地質が安定した遠隔地での貯蔵までの工程は、ビジネスとして十分に考えられる」と指摘した。

 国内最大のウラン鉱山「オリンピック・ダム」があるSA州のジェイ・ウェザリル州首相は今年3月、独立調査委員会を立ち上げた。同委員会は、現在行っているウランの生産だけではなく、核燃料棒の生産、発電、使用済み核燃料の貯蔵までを含めた核燃料サイクルの導入について、実現可能性を検証する。

 一方、首相は「フランスのように多くの原発を建設するのか? 私は少し懐疑的に考えている」と述べた。連邦政府の次期主席科学アドバイザーに就任するアラン・フィンケル博士は27日、原発建設について「将来の低炭素またはゼロ炭素社会を実現するには、検討する必要がある」と主張していた。



生産量世界3位も、原発ゼロ


 オーストラリアは世界で最大のウラン埋蔵量があり、生産量もカザフスタン、カナダに次いで3番目に多い。連邦産業・イノベーション・科学省の豪資源エネルギー統計(2015年9月四半期)によると、2014/15年度の八酸化三ウラン(U3O8)の生産量は6,196トン(前年度比12%増)だった。同省は、19/20年度に8,500トンまで増産すると予測している。

 一方、国内では、シドニー南西郊外ルーカス・ハイツに豪原子力科学技術機構(ANSTO)の研究用原子炉が稼働しているのみ。商業用発電炉は1基もなく、ウラン生産量の全量を輸出している。1996年〜2007年に首相を務めたジョン・ハワード氏が原発推進を訴えたものの、07年の連邦選挙で敗北したため構想は立ち消えになった。ただ、国産資源の有効利用や地球温暖化ガス削減の観点から、超党派で原発推進論も根強い。


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