国土の1.3%と牛19万頭、中国に渡さない

モリソン財務相、豪最大の放牧業者の売却で


 スコット・モリソン連邦財務相は19日、オーストラリア国内最大規模の放牧業者「S・キッドマン&Co」の海外企業への売却について「国益に合致しない」と述べ、拒否する考えを表明した。同社はオーストラリアの国土の1.3%、全農地の2.6%に相当する広大な放牧地を所有しており、国防上重要な土地も含まれている。公共放送ABCが伝えた。

 同社は1899年創業の国内最大級の肉牛生産者。WA州、北部準州、SA州、NSW州、QLD州の5州で、北海道(8万4,300平方キロ)より広い合計10万1,000平方キロの土地を所有し、18万5,000頭の肉牛を放牧している。同社が生産した牛肉は、日本や米国、東南アジアなどに輸出されている。現在も創業家のキッドマン一族が所有しているが、このところ売却の憶測が浮上している。中国系の2社が3,500万ドル以上の価格で獲得を目指し、ほかにも内外の合計8企業が食指を伸ばしていると報じられている。

 連邦政府が同社の海外企業への売却を認めないのは、国防機密保持の観点も大きい。同社が保有する放牧地のうち最大で、新潟県2つ分に相当する2万3,700平方キロの「アナ・クリーク」(SA州中〜北部)は、総面積の約半分が豪国防軍の演習場「ウーメラ試験場」(12万2,000平方キロ)の立ち入り禁止地域に含まれる。ウーメラをめぐっては、ウェイン・スワン財務相(当時)が2009年、豪資源大手オズミネラルが近隣に保有する銅・金鉱山の中国企業への売却を阻止したことがある。

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