牛乳生産農家、牛乳出荷価格暴落で乳牛を売却に

ついに優良種の乳牛を肉牛価格で競売場に運ぶ

 8月15日付のABCテレビ時事番組「Four Corners」は、オーストラリア国内の牛乳生産農家が優良種の乳牛を手放し、家畜競売場に運んで並の肉牛価格で売却していることを伝えた。牛乳生産農家の出荷価格が遂にコスト割れしているため、生産農家にとっては生産すればするほど借金が増える状態になっている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 VIC州南西部のキャンパーダウンにあるセールヤードには乳牛がトラックで運び込まれており、中には農家が直接少数頭をトラックで運び込んでいる。運び込まれる牛は乳牛としては農家が手塩にかけて育てた優良種だが、このセールヤードでは並の肉牛として、体重分の価値しか認められない。

 大手スーパーマーケットは1リットル1ドルの牛乳価格競争を続けていたが、2016年4月には国内最大手の牛乳加工会社、マレー・ゴルバーン社が生産農家に支払う価格を過去に遡って切り下げた。農家は、これまで牛乳固形分で1kgあたり$6だった納入価格を1kgあたり$5以下に切り下げると通告された。しかも、既に支払われている過去の生産分の差額の返済を迫っており、2,500戸の農家で総額は2億ドル前後にもなるとされている。遂に生産者価格がコストを下回るようになってしまっており、同社への返済のためには富を産むはずの乳牛を肉牛として売却する以外に何の手だても残されていない状態になっている。

 キャンパーダウンでは、5月以来、週に700頭前後の乳牛を屠殺場に送っており、その動きはおさまる気配がない。しかも、マレー・ゴルバーン社が生産者納入価格を切り下げたの続いて、ニュージーランドの大手企業フォンテラ社もゴルバーン社以上に切り下げた。

 ある生産農家の場合、マレー・ゴルバーン社は、来年の納入価格を固形分換算で1kgあたり$4.30まで切り下げると通告している。手紙を受け取った家族は、「もうこれ以上やっていけない。いくらがんばってもこの先で行き詰まるだけだ」と決断。そのまま家畜競売エージェントに連絡した。マレー・ゴルバーンの提示価格では必要な水も牧草の肥料を買うこともできない。このまま牛乳生産を続ければ年間7万ドルの持ち出しになるばかりだ。農家は、「マレー・ゴルバーン社はもっと早くに通告することもできたはずだ。会社は1年前にこのことを知っていたはずだが、知らん顔をしていた。会社は農家のことなど何とも思っていないのだろう」と語っている。

 他の農家は、「今月の出荷分でいくら稼げたか?」と質問されて、「マイナス$16,000。フォンテラ社に借金だ。牧場をやめたくてもそれもできない状態だ」と語っている。
■ソース
Four Corners: Dairy farmers forced to sell up in face of plunging milk prices

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