味覚を変える「奇跡のフルーツ」、豪でも栽培可能

「酸味・苦味」が甘味に変わるミラクリン含有

 Synsepalum dulcificumという植物は西アフリカ原産の木で小さな赤い実がなる。この実にはミラクリンという糖タンパクが含まれており、この実を食べると酸味や苦味を甘く感じられるようになるという変わった性質がある。ABC放送の農村情報(電子版)は、シドニー出身のカップルがこの木をQLD州デイントゥリー地域の農場で見つけ、市販化を進めていることを報じている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 クリス・ベッキースさんとカレン・ペレイラさんは、シドニーからデイントゥリー地域に移った後、自分達の土地で「ミラクル・フルーツ」と呼ばれる木が植わっていることに気づいた。2人は、この実の特長が化学療法を受けているがん患者の味覚を取り戻す助けになるのではないかと考え、この実の商品化を目指し、栽培を進めている。

 ミラクリンという糖タンパクは水溶性であり、味蕾の甘味受容体に結合すると酸味も苦味も甘く感じるようにしてしまう。ベッキースさんは、「この実を食べた後1時間ほどは、ライムであろうとトマトであろうと甘く感じるようになる」と語っている。

 2人は当初はこの実を友人や家族に試させていたが、友人の一人が白血病治療のために化学療法を受けていた。そのために食べ物が金属性の味しか感じられなくなっており、冷蔵庫から氷を取り出して食べていた。その友人にこのミラクル・フルーツを食べさせるところを友人の妻がビデオに撮っていた。友人は、「これは驚いた」と一言叫び、それ以来毎晩のようにレストランに通い始めた。

 ベッキースさんは、「彼の生活の質が好転した」と語っている。

 ミラクル・フルーツを食品として市販化することは法的にいつでも可能だが、「がん患者の味覚を変える」ことを宣伝に使うと医薬品管理法に抵触する。医薬品管理局(TGA)に登録すれば法に触れなくなるが、そのためには有効成分ミラクリンをオーストラリア国内で臨床治験を通して効果を実証しなければならない。2人はその臨床治験にも乗り気だが、協力してくれる医療機関や医師が見つからない限り、それも難しい。

 ミラクル・フルーツは夏が収穫期で、収穫後は冷凍にするか、フリーズ・ドライしないと48時間ミラクリンの活性度が落ちる。そのため、現在は2000本の木の収穫期をずらすことを試みている。
■ソース
Miracle fruit crop may help cancer patients regain a love of food

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