「政府の携帯通信暗号通信解読技術法は危険」

国内ビジネスにも破局的な結果をもたらす可能性

 オーストラリアの連邦政府はピーター・ダットン内務相らが推進して、携帯電話通信暗号解読技術法の制定に向かっているが、通信技術専門家は、そのような法律はオーストラリアのビジネスや産業に破局的な結果をもたらす可能性があると警告している。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 もともと暗号化されている携帯電話通信を政府機関が任意に抜き出して解読できるように暗号化技術を変更すると通信の暗号化が脆弱になるという問題はダットン大臣の発言当時から指摘されていた。

 しかし、立法化が具体的になるに従って業界には危機感が募ってきており、通信技術業界からは、「政府の法案が立法化されればオーストラリアの通信技術が信頼性を失い、雇用崩壊を起こし、通信関係の輸出も減少するだろう」との警告が出されている。

 また、連邦議会上院議長自身が、「この立法は議員特権そのものを浸食することになる」と警告している。

 Assistance and Access Billと名付けられた法案に盛り込まれた内容によれば、通信技術企業は、捜査当局が暗号化通信を解読できるようなメカニズムを組み込まなければならないとしている。たとえば、テロリスト容疑者のテキスト・メッセージを解読できるようなメカニズムを用意しておくことが義務づけられるが、同時にそのメカニズムを秘密にする義務も課せられる。

 これに対して、情報セキュリティ問題両院合同調査委員会(PJCIS)で証言した暗号化技術企業セネタス社のフランシス・ガルバリー会長は、「このような法律ができると通信の暗号化技術企業に対して深刻な不信をもたらすことになる。国際市場において、オーストラリアのソフトウエア開発企業やハードウエア・メーカーの評価が大きく損なわれる」と語った。

 ガルバリー氏は、「このような法律が制定されると、セネタス社は、政府機関の解読を助けるために製品に秘密の改変を加える義務を負っているとみられるようになることもあり、さらには製品のセキュリティそのものが損なわれることにもなる。国際的な競争に参加するオーストラリアの通信技術企業がそのような評判を望まないことは明らかだ」と証言している。

 また、「これは単にリスクということではない。この法案が立法化されれば必ずそういう結果になるということだ」と語った。

 スコット・モリソン連邦首相は法案の議会通過を急いでいるが、ガルバリー会長は、「国内企業はどこも内務省から法案の言い回しについて相談を受けたことがない」と証言している。
■ソース
Encryption bill could have ‘catastrophic’ outcomes for Australian business, industry leaders warn

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