「危険思想フェスティバル」開催中止

「名誉殺人」擁護のタイトルで大反響

 南米、太平洋諸島、南アジアから中東にかけて、しばしば問題になる「hounour-killing(名誉殺人)」は、特に親の許可なく女性が他宗教信者と交際、結婚した、あるいは西洋的な服装をしたというだけの理由で、女性が家族の名誉をけがしたとして、名誉を守るために家族が女性を殺害するというもので、日本でも江戸時代まで武士の妻が姦通した場合に夫が妻を殺害することが認められていた。この風習はイスラム教と結びつけられやすいが、イスラム教以前からの風習ともされている。国連は「年間5000人以上の女性が名誉殺人で殺害され、もっと多くの女性が自殺を強制されている」と報告している。

 8月にシドニー・オペラハウスで開かれる予定だった「危険思想フェスティバル」で、「名誉殺人は倫理的に正当化できる」との表題を掲げ、イスラム教団体「Hizb ut-Tahrir」のUthman Badar氏が演説することになっていたが、このイベント予定が発表されるとソーシャル・メディアや聴取者参加ラジオ番組などから猛烈な攻撃があり、遂にはNSW州保守連合政権のプル・ガワード婦人問題相、ビクター・ドミネロ市民権・地域社会相も猛烈な批判を行った。

 6月24日夜、フェスティバル主催共同責任者のサイモン・ロングスタッフ氏が、「一般社会の抗議が大きいため、イベントを中止する。反響が大きく、演説者が議論することも不可能と判断した」と述べている。また、演説する予定だったBadar氏は、「名誉殺人をばかげた行為と主張する予定だったが、この問題の背景を大きく取り上げたかった。一般社会からの批判には多分にイスラム教排斥の心情が混じっており、まるでヒステリアだ」と語っている。

 シドニー・オペラハウスも声明文を発表し、「Badar氏も、セント・ジェームズ倫理センターも、オペラハウスも名誉殺人を正当化しておらず、女性に対するいかなる暴力も擁護していない」と述べている。また、Badar氏は、「演説の題目は私の考えではないが同意した。他の話題で話したかったが主催者の主張を受け入れた。危険思想フェスティバルのイベントは、挑発的で対立的な議論であることは確かだ。私は殺人も暴力も擁護しないが、ムスリムの立場から、世俗リベラル思想とオーストラリアの主流価値観に議論を挑むつもりだった」と語っている。(NP)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る