「豪の決定的瞬間は白人の入植」

またアボット発言が物議をかもす

 イギリス生まれでオーストラリアに移民してきた家族の子供、トニー・アボット連邦首相は徹底して英国中心の世界観だ。先日のように、スコットランド独立運動について意見を求められ、「自分が何かを言う立場にはないが」と前置きして、「独立派は自由の味方ではないし、民主主義の味方でもない」と発言し、スコットランドの独立運動リーダーから、「オーストラリアの首相は愚かな発言でよく知られているから」と言い返される始末。

 8月29日にはキャンベラのオーストラリア国立博物館の「豪史100の決定的瞬間」プロジェクト発表式で、アボット首相は、「この大陸の歴史における決定的瞬間は第一移民船団の到着だ。繰り返すと、それがこの大陸の歴史における決定的瞬間だ。その時からオーストラリア大陸は近代世界の仲間入りをした」と発言した。

 首相の英国中心的なこの発言には、首相の先住民族問題顧問パネルのウォレン・マンディーン議長自身が、「白人入植が決定的瞬間だったことに異議はない。その通りだが、この国の先住民族にとっては破滅的な決定的瞬間だった」と語っている。

 さらに、アボット首相の「イギリス植民地になることで、オーストラリアは地上でもっとも豊かな社会の一つになる基盤ができた」との発言に対して、マンディーン首相顧問は、「その通りだが、全ての者が恩恵を受けたわけではない。アボリジニは豊かになっただろうか? もちろん、ノーだ。先住民族はこの国の誰よりもはるか後方に置き去りにされている。そうでなければ私も首相顧問を務めていない。

 また、NSW州とACTの「盗まれた世代委員会のマチルダ・ハウス委員長は、「首相の発言は荒唐無稽だ。政治家がこういう発言をする時、真剣に考えているとは思えない」と語っている。また、全豪先住民会議のカースティー・パーカー共同議長は、「首相はオーストラリア国民全員を代表していない。彼の発言はオーストラリア社会のごく特殊な一部分の考えだ。残念なことに首相のこのような発言がオーストラリアを後退させている」と批判している。

 7月にもアボット首相は、「第一次移民船団がシドニー・コーブに到着した時、オーストラリア大陸にはまだ誰も定住していなかった」と発言して猛批判を受けている。また、アボット首相は、1964年のルパート・マードック氏の「オーストラリアン」紙創刊を「豪史の決定的瞬間」にノミネートしたが、審査員の一人は、「新聞の創刊が豪史の100の決定的瞬間に入るとは考えられない」と呆れている。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-08-30/pm-comment-on-defining-moment-angers-indigenous-groups/5707926

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