「保護ビザ発給数制限は無効」の判決

モリソン移民相政策に高裁の裁き

 現トニー・アボット連邦政権は、政策全分野にわたって一般国民や専門家の声を無視する一種貴族政権的なゴリ押し政治を行っているが、先日の「学校付き聖職者制度」違憲判決に続き、スコット・モリソン移民相の「保護ビザ発給数制限」措置を規定した法律に対して連邦高裁が「無効」判決を下した。この判決により、政府は新法を制定するか、現法律を停止するかしなければならない。

 この判決は、2人の難民希望者が保護ビザ発給を申請し、これを「発給数限度に達したため」として発給を拒まれたことから連邦高裁に提訴していたもの。1人は昨年エチオピアから船で密航し、オーストラリアに来た15歳の少年、もう一人は2012年にクリスマス島に到着したパキスタン人男性。

 現法制では難民認定されれば移民相が90日以内に(長期的な)保護ビザを発給することになっている。しかし、保守連合政権が、期間を限り、難民申請者に不利な「臨時保護ビザ」を再導入しようとしたが上院で労働党と緑の党の反対にあって流れたのに対して、モリソン移民相が、1年度の保護ビザ発給数を2,773通に制限する挙に出た。

 高裁は、「移民大臣にはビザ発給数を制限する権限はない」と全員一致で判断、モリソン大臣に対して臨時保護ビザ発給数制限を考え直すよう命じた。2人の原告の弁護士を務めたデビッド・マン氏は、「保守連合は野党の時期から難民が永住ビザを取得することを妨害するキャンペーンを続け、政権獲得後はその措置を実施した。しかし、その措置が違法と判断された。難民認定が済み、他の条件がすべて整えば、保護ビザを発給し、永住権を与えなければならないのは当然。難民認定を受けながら保護ビザを受けていない人は千人を超えるのではないか」と語っている。

 リチャード・マールズ労働党移民問題スポークスマンは、「保守連合の難民問題政策は混乱の一語。これは、過去最大のデータ漏洩の政権、インドネシアとの国交関係を損ねた政権、領外難民収容所の破綻を招いた政権。モリソン移民相は危機に次ぐ危機の責任者」と批判している。また、緑の党のセーラ・ハンソン=ヤング移民スポークウーマンは、「この判決は公正さと良俗の勝利」と発言している。一方、モリソン大臣のスポークスマンは、「難民船渡来の難民希望者をオーストラリア領土に定住させないという当政権の政策に変更はない」と発表している。(NP)

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