マレー川のコイ退治にヘルペス・ウイルス使う計画頓挫か

研究で間接的に水系の生態系を破壊する恐れ明らかに

 連邦政府は、2018年末にマレー川のヨーロッパ系コイ・カープだけに感染するコイ・ヘルペスウイルス3型を川に撒き、繁殖しすぎて川の生態系を破壊しているこの移入種害魚を駆除する計画を検討している。しかし、最近の研究でウイルスによるコイ・カープの大量駆除は結果的にマレー川の生態系を破壊することになる可能性が明らかになった。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 マレー川はVIC州とNSW州の州境を流れ、SA州で大オーストラリア湾に注ぐ川であり、流域の灌漑に重要であり、また、川にはマレー・コッドなど絶滅危惧種も棲息している。しかし、移入されたヨーロッパ産のコイ・カープが増えすぎ、他の生物、特に魚を脅かすまでになっている。そのため、何度も駆除が試みられた。

 コイ・ヘルペスウイルス3型は、コイだけに感染し、他の生物種は脅かさない。しかし、大量のコイの死体が腐敗していく過程で川の水に溶けている酸素を奪うため、川の水生生物が窒息死する危険が考えられる。SA州アデレード大学の研究チームは、800リットルの水にコイの死体を入れ、腐敗していく過程で奪われる酸素の量を測定した。

 リッチー・ウォルシュ研究員は、「摂氏20度の条件で1尾のコイ・カーブが腐敗していく際には、わずか48時間で800リットルのタンクの水を完全に酸欠状態にすることがつきとめられた。まだまだ知らなければならないことがいくつもあるが、ヘルペス・ウイルスによるコイ・カープ駆除では何百万トンものコイが水に浮かぶことになり、それをどうやって取り除くかという問題になる。一部は川底に沈むだろうし、そうなれば除去はさらに困難になる」と述べている。

 コイ・カープは、マレー川に放流されて以来、繁殖を続け、現在でも川のバイオマスの80%以上を占めている。また、経済に及ぼす影響は5億ドルと見込まれている。
■ソース
Herpes virus carp kill in River Murray may sap essential oxygen, research shows

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る