NSW公立学校でキリスト教の祈り

「公教育世俗主義は」と保護者懸念

 オーストラリアは政教分離が建前だが、敗戦後の日本ほど徹底していない。多文化主義を国是としていても、歴史的なキリスト教優遇は根深い。最近、「NSW州の公立小学校で、アセンブリーの際にキリスト教にのっとった祈りが行われており、「公教育は世俗主義が義務づけられているはず」と保護者が問題にし始めていることが報道された。

 NSW州教育省は、「公立学校は地域社会との協議により、キリスト教または教際的な文言の祈りを書いたり、用いたりすることが許される」と見解を発表している。NSW州小学校長会のジェフ・スコット会長は、「学校での宗教的な祈りはまったくすたれているわけではないが、昔ほどには目立っていない」と語っている。

 しかし、ある公立小学校ではキリスト教の祈りが保護者の賛成で継続されることになり、「宗教的祈りをしたければ聖書の時間か宗教グループでやればいいこと。学校活動の一部としてするべきではない」と、決定に反対する母親に対して、州政府教育省は、「学校での祈りに反対する保護者の児童は、その時間、学校内の他の場所で教員が監督すべき」としており、公教育での宗教活動を支持する見解を出している。これに対して母親は、「子供が学校に通う間、アセンブリーの度に他の場所に隔離されることはおかしい」と反発しており、学校の公的活動中に宗教的な祈りをすることのない隣の学校に子供を転学させた。母親は、「娘が宗教について勉強するのは大歓迎だが何を信仰すべきかを学校で教えてもらいたくない」と語っている。

 サザン・クロス大学宗教社会学のキャシー・バーン教授は、「多文化、多宗教で非宗教化が進むオーストラリア社会の公立学校で宗教的祈りをするというのは問題が多い。社会を分裂させるような行為には疑問を持ち、見直しがあるべきだ。もし、イスラム系住民の多い地域の公立学校でムスリムの祈りを導入すると言い出せば社会的に大問題になるはずだ」と分析している。一方、NSW州の公立高校長会では、「公立高校での公的活動に宗教的祈りはほとんどないはず」と答えている。(NP)

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