ウクライナ系カソリック教会に落書き

ナチのカギ十字やキリル文字の悪罵

 シドニー首都圏西部のウクライナ系カソリック教会の壁にロシア語やウクライナ語に使われているキリル文字で「ファシストの裏切り者」の文句やナチのカギ十字がなぐり書きされていたことが報道されている。

 ウクライナはヨーロッパ連合(EU)加盟を望む西部と、ロシアとの同盟を望むクリミアなど東部住民との間の対立が武力衝突に発展している。ウクライナは歴史的にも周辺諸国の戦場になっており、その度に併合、分割を繰り返してきた。また、第二次世界大戦当時、ウクライナはドイツ軍の侵攻当初、「ロシアからの解放者」として歓迎したいきさつがある。現在は東部で独立分離派がウクライナ政府建物を占拠するなどしており、武器・装備が日増しに充実してきている。また、連日、双方に死傷者を出しており、事実上内戦状態になっている。

 オーストラリアは世界各国からの移民が集まっており、海外の対立・戦乱の影響がオーストラリア国内の社会事件になることもしばしば起きている。6月21日には、ウクライナ国内の対立がオーストラリアにも波及し、シドニー首都圏西部リッドコムのウクライナ系カソリック教会の壁に落書きされているのが見つかった。見つかったのは6月21日朝で、セント・アンドリュー・ウクライナ・カソリック教会の壁にナチのカギ十字や「裏切り者のファシスト」などの文字がスプレーされていた。NSW州政府は落書きを悪質な行為と非難している。また、教会のSimon Ckujは、「教会は第二次世界大戦中にナチズムと戦ったウクライナ人を追悼しており、落書きの内容は、その追悼の気持ちを踏みにじる行為」と語っている。

 被害にもかかわらず、教会側は、「日曜日のミサには落書きした本人のために祈る」と語っている。また、NSW州政府のビクトル・ドミネロ地域社会相は、「このような事件は強力な人種差別禁止法の必要を示すものだ。海外の人種対立事件で国内地域社会を威嚇することは許し難いことだ。しかも、よりによってナチのカギ十字を使うとはまったく不愉快な行為だ」と語っている。

 トニー・アボット保守連合政府は、ジョージ・ブランディス司法長官がルパート・マードック系メディアや超右翼シンクタンクの「インスチチュート・オブ・パブリック・アフェアーズ」などの支持を得て、「人種差別禁止法」緩和法案を進めているが、少数民族系住民の多いNSW州の保守連合政府は反対しており、むしろ強化すべきとの立場を取っている。(NP)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る