受刑者のほとんどが出所後無職野宿

半年後の実態、国内最大規模調査

 出所後の受刑者の生活実態を追ったオーストラリア国内で最大、世界でも最大規模の調査で、出所半年後も無職野宿生活を送る者が大半との結果が出た。また、精神障害を負っている元受刑者の場合にはさらに厳しい条件に置かれていることが明らかになっている。

 メルボルン大学の研究チームは、QLD州の刑務所に受刑中の1,300人に面接し、さらに出所3か月後、6か月後にも面接した。論文の筆頭著者、スチュアート・キナー准教授は、元受刑者の再犯率などに注目した初めての試みだ。出所後の生活条件を調査した研究としてはオーストラリアでは史上最大、世界的にも最大級の一つであることは間違いない」と述べている。

 さらに、「元受刑者は、出所後も健康を損ねており、また社会生活も思うように改善していない。刑務所は、『21世紀の精神病院』と呼ばれており、研究の面接に応じた1,300人の半分近くが精神障害の診断を受けている。もっとも一般的な障害は不安症、統合失調症、薬物使用障害となっている。また、出所後の住所不安定や野宿生活、失業、様々な健康問題などを抱えている者が多く、特に精神障害を抱えている元受刑者の場合にはさらに劣悪な条件にあり、精神障害元受刑者の場合にはそうでない元受刑者に比べて再逮捕率は3倍にものぼっている。また、精神障害を負っている元受刑者は薬物に走る傾向も大きく、6か月後には危険な量の飲酒癖に戻っている」と述べている。

 キナー准教授は、「政府は、受刑者の健康問題ではかなり改善してきたが、出所する者に対する社会復帰の支援が不足している。今回の研究で、出所後の支援が重要であることが示されている」と述べている。また、「政府が矯正制度や医療制度で支出を減らしたければ、犯罪者に厳しくするよりも犯罪の原因に厳しくなるべきだ。再犯者を減らしたければ、出所者の社会復帰を支援すべきが、研究で明らかになったのは、その支援努力がほとんどなされていないことだ」と述べている。(NP)

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