復員兵士、PTSDから犯罪率上昇

英雄と誉め称えた挙げ句に忘れ去り

 政治家が戦争を始め、兵士を戦場に送り出す時と復員時には政治家特に政府と与党政治家は最大限の賛辞を贈る。送り出した政治家は豊かな年金をもらって引退生活を迎える。しかし、戦場で殺し殺されという緊張を過ごし、人間の凄惨な姿を目撃した兵士の多くが十分な支援も得られないまま、心的外傷後ストレス障害に苦しみ、自殺や薬物、犯罪などに走ることもまれではない。

 10月15日、復員兵士支援団体の一つが、「国内全土で500人の復員兵士が刑務所に入っている」との警告を発表している。しかし、帰国後の復員兵士の生活を把握している政府機関はなく、実数はつかめていない。また、受刑の復員兵士の多くが心的外傷後ストレス障害(PTSD)が原因で犯罪に走ったのではないかと見られている。

 ABCテレビの時事番組「7:30」に出演した、イラクとアフガニスタンの豪軍に参加したボー・キング氏(31)の場合には、友人のマイケル・リディアード氏が地雷を踏んで戦死したところに真っ先に駆けつけた。キング氏は、「それだけでもう決定的だった。もう身体がそれ以上受け付けることができなくなった」と語っている。氏は、帰国後PTSDを発症したが、助けを求めることをせず、陸軍を退職して市民生活に戻ったが、その後は破綻の一途だった。キング氏は、「心の中が怒りでいっぱいになっていた。しょっちゅうケンカしていた。2週間続けて額を割られたこともある。ケンカと飲酒、他人は私のことをそういう人間と見るようになっていた」と語っている。18か月に3回飲酒運転で捕まったが、裁判で2年間の執行猶予付きの実刑判決を受けた。「判事が私に今度同じことをしたら次はすぐに刑務所行きだよと言った」と語っている。

 アデレードの復員軍人リハビリ・センターのイアン・キャンベル所長は、「元兵士16人が受刑中か、公判待ちか、仮釈放中だ」と語っている。また、ブライアン・ディーガン元簡裁判事は、復員軍人の裁判を何十人も手がけてきたと語っており、「復員兵士が犯罪を犯す時にはその心理、PTSDが大きな原因になっていることは確かだ。私の息子は2002年のバリ爆弾事件で殺された。何の難しいこともない。そのような体験を経ると人間性が変わるのだ。国防省は兵士が戦場体験でPTSDにかかりやすいことをよく認識し、それに対応すべきだ。政府は若い兵士達に借りがある。命がけで戦った彼らは帰国後政府がその面倒を見なければならない」と語っている。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-10-15/concerns-ptsd-leading-to-higher-number-of-veterans-in-prison/5816824

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