NT警察、アボリジニ女性「飲酒」容疑で自宅で逮捕

法廷、警察の起訴を「違法行為」と門前払い

 時として法律の奇妙な適用で奇妙なことが起きる。

 北部準州(NT)警察は、「積極的DV遵守チェック」と称してアボリジニ家族の自宅に踏み込み、住人女性を飲酒チェック、プラスと出たため、女性を逮捕起訴した。しかし、法廷は、「DVの訴えもなく、自宅で飲酒チェックする権限は警察にはない」として、起訴を門前払いした。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 キャサリン在住のアボリジニ女性の自宅に押しかけた警察官は女性に血中アルコール濃度を測る呼気検査を行い、飲酒の罪で逮捕した。この女性は裁判所のDV条件を受けており、「パートナー同席の飲酒」を禁じられている。一方、警察は、パートナーからDVの訴えが出されていないにもかかわらず女性の自宅を訪れ、呼気検査している。

 キャサリン地裁はエイリーン・ロイさんに対する起訴を却下したがNT警察が再審を求めてNT最高裁に控訴した。しかし、最高裁でも起訴を却下した。

 北部オーストラリアアボリジニ法律援護会のベス・ワイルド弁護士は、「この事件は大きな問題をはらんでいる。市民がただ自宅で飲んでいるだけで警察官がやって来て呼気検査し、そのまま法廷に連れて来るということに対して、プライバシーをバランスさせなければならない」と語っている。

 2018年4月、NT警察は、アルコール乱用のひどい町のDVを標的とする「ヘイブン作戦」を開始した。最近になってこの作戦がキャサリンでも実施されるようになり、警察は「積極的DV遵守チェック」を実施していた。

 一方、ロイさんは、DVO命令を出されており、飲んでいる時にはパートナーと同席できないことになっている。ある日の午後、警察官3人がロイさんとパートナーの住む部屋を訪れ、「DVOが守られているかどうかを調べる」と言い、ロイさんが酔っている場合、ひきつけを起こしやすいパートナーに危険があると考えた警察官がロイさんを屋外に連れ出し、呼気検査をしたところプラスと出た。

 法廷でNT警察は法律に定められた権限を行使したと主張したが、ディーン・ミルドレン最高裁判事は「警察官には、ロイさんの家に行ってロイさんの息を嗅ぎ、呼気検査を受けるように指示する権限はない。建物に入り、彼女の部屋のドアをノックした段階で警察官は不法侵入したことになる。そこで得られた証拠は不法な手段で得られたものであり、証拠能力を持たない」と、起訴却下の理由を述べた。

 反対尋問で警察官は、ロイさんの部屋を訪れた時にはDVO違反の通報を受けていなかったと答えている。

 ワイルド弁護士は、「この判決は、警察官がDVO違反の通報なしに個人宅に押しかけてきて呼気検査し、逮捕することはできないということを示した」と語っている。
■ソース
NT Police arrest Aboriginal woman in her own home for being drunk

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