公衆衛生当局がMERSの豪上陸警告

SARSに似た致死性の呼吸器系疾患

 5月末、国内の公衆衛生当局が、「SARS(重症急性呼吸器系症候群)に似た中東呼吸器系症候群(MERS)がオーストラリアにも上陸することは必至」と警告している。

 SARSは2002年に中国で確認され、2003年末までに800人近い死者を出したが、それ以降は鳴りを潜めている。ただし再流行の危険は常にあると言われている。病原体は中国のキクガシラコウモリが持つSARS-コロナ・ウイルスの変異体と突き止められた。風邪様の症状を示し、致死率は最高15%程度。2012年にロンドンで初めて確認されたMERSもSARSに似たコロナ・ウイルスで、症状も似ている。MERS病原体はラクダの持つウイルスの変異体と見られている。これまでに世界中で600人が発症し、200人近くが死亡しているように致死率は高い。

 スイスのジュネーブで開かれていた世界保健機関(WHO)のMERSウイルス委員会に出席した豪連邦政府の最高医務官、クリス・バゴリー教授は、「この疾患は、現在11か国で発生を見ており、我が国にも上陸する見通しは大きい」と発表している。MERSは、SARSに比べて伝染性は弱いが致死率ははるかに高く、中東などこれまでにMERSが発生している地域を旅行する場合には極度の警戒をするよう呼びかけが出ている。

 これまでのところ国内ではMERS発症例はないが、VIC州ジーロングのCSIROの高警備研究所にはウイルスのサンプルが集まっており、過去1年間、同研究所の研究者がMERSサンプルの遺伝子構成や免疫系の反応などを調べており、検査法の開発を目指している。同時に、MERSは中東でラクダに触れた人々を介して人間社会で発症者を出しているため、CSIROでは、野生化して数の増えている国内ラクダの検査も進めている。国内中央砂漠地帯には30万頭ともそれ以上とも言われているラクダが野生化して繁殖しており、一部は中東にも輸出されている。これまで、ラクダにもコウモリにもMERSウイルス保菌者は見つかっていないが、油断はできないと専門家は警告している。

 WHOは、「MERSは世界中で632件の発症例があり、193人が死亡している。(NP)

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