私学助成金で税金20億ドル無駄に

教育専門家が政府の私学優先批判

 ジョン・ハワード保守連合政権期、「学校選択の自由」として、政府の私学助成金が大きくなった。また、「生徒数に応じて公私予算を配分する」政策を取ったため、予算増額された私学に生徒が流れ、さらに私学予算が増えるという循環が始まった。今回も「討議資料」として、「高所得保護者が公立学校に子供を送る場合、所得水準で教育費を負担させる」ことや、「公立学校は完全に州・準州の責任とし、連邦政府は全私学の予算を負担する」などの案も含めており、再び私学優先に傾いている。

 2013年までの労働党政権は公私学校予算配分是正のため、実業家のデビッド・ゴンスキ氏に委託して学校予算改革計画の編成に当たらせた。しかし、公私学校予算の平等公正を目指したゴンスキ学校予算改革の施行途中で連邦政権が保守連合に移ったため、ゴンスキ改革は窮地に立たされている。

 6月30日、新しい調査報告で、私学助成金の使途について、「独立系私学が政府の助成金をグラウンド、建物その他の施設建設に使っている。過去40年間に、私学の生徒を公立学校で教育していれば年間20億ドルの教育予算節約になっていた。1973年から2012年までの私学への公的資金投入は税金の節約にならずコスト総額が増えるだけに終わっている」と結論している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 調査と報告を手がけたのは教員教育諮問委員会委員長のリンゼー・コナーズ教授とNSW州教育省副事務局長のジム・マクマロウ教授で、2人は、「2012年の私学生徒増加数は634,068人で、この生徒が公立学校に入っていれば74億2,000万ドルの教育コストだったが、この分の私学への助成金は94億7,000万ドルにのぼっている」としている。

 この調査は、大学医学部入試その他の試験を管理している非営利団体の全豪教育研究協議会が出資したもので、独立系私学が過剰に学校施設、グラウンド、建物などに金を使っていることを指摘している。また、高所得保護者が私学に子供を送る傾向があるため、公立学校は私学が受け付けない世話を必要とする生徒や追加予算を必要とする生徒の率が高くなっている。

 この調査結果は、2015年生産性委員会の報告書で、「2013年度、公立学校の予算は生徒一人あたり$15,703、私学の政府負担は$8,812で、差し引き年間総額で86億ドルの節約になっている」としていた。

 私学団体は、新報告書を「反私学イデオロギー」と批判しているが、エイドリアン・ピッコリNSW州保守連合政府教育相は、連邦政府に対して、「ゴンスキ計画最後の2年間の予算配分を遵守するよう」要求しており、私学優遇の連邦保守連合とは温度差がある。
■ソース
Education experts say $2 billion has been wasted on private schools

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