「患者の体に特許は設けられない」

連邦高裁ががん患者勝訴の判決

 QLD州の69歳のがん患者女性が、多国籍企業を相手取って起こしていた裁判で連邦高裁は判事全員一致で女性の勝訴を言い渡し、ミリアッド・ジェネティクス社に対して、「乳がんを引き起こす遺伝子の突然変異に対して特許を設けることはできない」と判決した。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 問題の突然変異遺伝子はBRCA1と呼ばれ、QLD州在住のイボンヌ・ダーシーさん(69)は、自分の体から採取された乳がん細胞の遺伝子を多国籍企業ミリアッド・ジェネティクス社が特許申請しようとしたことに対して、訴えを起こした。一旦は連邦裁が、同社は遺伝子に特許を設けることができると判決していた。

 ピンク・ホープのクリスタル・バーター氏は、「この判決はコモンセンスの倫理の勝利。これで司法制度への信頼も回復される」と語っている。また、「知的財産権の革命、公衆保健と医学研究の勝利」との評価も挙がっている。

 イボンヌ・ダーシーさんが連邦裁で敗訴した後、人権弁護士や集団訴訟で有名なモーリス・ブラックバーン弁護士事務所がダーシーさんを代理して連邦高裁で争い、「乳がん遺伝子のBRCA1は人体中で自然に発生した人体の一部が発見されただけであり、特許を設定する条件たる発明物ではない」と主張していた。

 ダーシーさんは、「私は2度乳がんになった。私のがんは遺伝性ではないが、自分の体の一部を誰かが所有できるとは思わない」と語っている。2008年以来、オーストラリア国内でBRCA1特許を管理するジェネティック・テクノロジーズ社が、臨床検査機関に対して、「BRCA1に特許が設定されているため、当社以外がBRCA1検査をすることは特許侵害にあたる」と通達した。これに対して、国民の間から批判の声が殺到したため、同社はこの通達を撤回している。

 連邦高裁判決に対して、「メディスンズ・オーストラリア」や知的財産権専門弁護士は、「この判決で新薬開発が遅れるようになるだろう」と発言している。
■ソース
Landmark High Court ruling on BRCA1 gene patent as pensioner wins legal case

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