移民受け入れ枠引き下げは財政と雇用成長阻害

連邦政府の報告書で政府方針と対立する評価

 保守連合連邦政権与党の右派議員からは移民受け入れ枠を引き下げるよう圧力がかかっているが、その政府に提出された移民問題報告書で、「移民受け入れ枠を引き下げれば連邦財政が何十億ドルも縮小し、さらに、生活水準や雇用成長も停滞する」と述べている。

 財務・内務合同報告書は移民がオーストラリアに経済的配当をもたらしており、財政に100億ドル近い額を貢献していると述べている。

 さらに、移民受け入れ数を削減すると、労働力が縮小し始め、GDP低下になる。生涯国家財政の純負担となるのは難民の人道ビザで入国したものだけだ、と述べている。

 財務・内部双方が作成した報告書では、2015年度の移民受け入れだけでも今後50年間に100億ドル近い額が国家財政に入ることになる。これだけの額がわが国のGDPを上昇させ、また国民1人あたりのGDPも大きくなり、生活水準を引き上げる波及効果があると述べている。

 現在、与党保守連合内部でオーストラリアの移民受入数について白熱した議論が行われており、また、濠太剌利の人口増加の速さを危惧する国民も増えており、そのような時期にこの報告書が発表された。

 オーストラリアは年間19万人程度の移民を受け入れており、そのほとんどが技能移民だが、トニー・アボット前首相は、「国民の生活費を引き下げ、インフラストラクチャに対する圧力を緩和するため、移民受け入れを半分くらいにするよう」主張している。

 一方、報告書は、「移民受入数を引き下げれば国内労働力も減少し、GDPもかなり低下し、経済に相当な影響が出る。近年、オーストラリアの労働力成長には移民が不可欠となっている。過去5年間に創出された新雇用の65%が新移民の労働力を雇っている。アボット前首相は2013年に100万の雇用を創出すると公約しており、その100万新雇用がほぼ達成されているのは移民受け入れの規模が大きいからだとしている。

 また、報告書は移民に関する様々な俗説を論破しており、福祉制度についても、「新移民は受ける福祉以上の税金を払っているのが普通だ。また、新移民がオーストラリア国民の仕事を奪うことはなく、人口が増えた分だけ雇用が拡大するだけで差し引きゼロだとしている。移民はオーストラリア社会の高齢化を相殺し、就業率や生産性を高めている。また、短期に開発することの難しい技能を移民で補うことが利点がある」としている。

 報告書は、「人口が増えれば、政府はそれに比例して新しいインフラストラクチャを建設しなければならず、同時に既存のインフラストラクチャを効果的に利用することが必要だ」と述べている。
■ソース
Budget and jobs growth would suffer if Australia cut immigration, Government report finds

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