連邦上院、炭素税廃止法案否決

労働、緑が反対票投じる

 3月20日、連邦議会上院は、保守連合政権が選挙公約にしていた炭素税廃止法案が下院を通過し、上院に回されてきたのを受け、議決にかけられたが、労働党と緑の党がこれまでに明らかにしていたとおり反対票を投じて否決した。政府は、今後3か月を経なければ同じ法案を再上程できないが、2度目も上院で否決されると法案を廃案にするか上下院総解散総選挙に持ち込むかしなければならない。ただし、2度目は6月下旬になり、7月には昨年9月7日の総選挙で当選した上院半数の議員が登院し、保守連合が無所属や小政党を味方につけられれば両院総解散に持ち込まなくても炭素税廃止法案を成立させられる。

 この日、炭素税廃止法案は33票対29票で否決された。2007年に勝利したケビン・ラッド労働党政権が炭素排出権制度(ETS)法案を提出したが、保守連合と緑の党が正反対の立場からこれを2度否決した。2010年に勝利したジュリア・ギラード元労働党政権はETS法案を放棄し、炭素価格付け制度法案を導入、同制度は2012年から施行された。また、2015年からはETSに移行することになっていた。2013年、首相の座に戻ったラッド氏は、「制度を前倒しし、2014年からETSに移行する」計画を発表した。しかし、2013年9月の選挙で、「炭素税(炭素価格付け制度)廃止・気候変動対策直接行動計画」を掲げたトニー・アボット保守連合が勝利した。

 しかし、温室化ガスを排出する企業や団体から懲罰的な「排出料」を取り立てるのに対して、排出企業や団体に資金を与え、排出削減技術を導入するよう後押しする「直接行動」計画は科学者からもエコノミストからも「金ばかりかかって効果は見込めない」と評価が低い。しかも、アボット首相は、「予算内で目標を達成できなくても追加予算はない」と確言している。また、これまでに操業閉鎖や開発中止を決定した企業経営者がいずれも「炭素税は無関係」と発表しているにもかかわらず、ジョー・ホッキー財相とアボット首相が強引に「炭素税で企業閉鎖が起きている」と発表し続けており、本来科学の分野である気候変動問題が完全に政治イデオロギー化している。(NP)

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