政府報道アドバイザー1900人

財政節約のはずの保守連合政権

 政治団体や企業、省庁などの報道アドバイザーを英語では「spin doctor」と呼ぶ。1980年頃から現れた表現で、語源は分からないらしいが、一説には、野球でボールに回転(spin)をつける(doctor)ことによって思う方向にボールを飛ばすということから来たとされている。この場合の「doctor」は医者でも博士でもなく、「細工する」という用法から来ていることになる。ただし、スピン・ドクターは戦術には長けているが、ビジョンを持たない技術者といえる。

 3月26日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH)は、現在、政府省庁が雇っているスピン・ドクターの人数が1,900人にもなり、政府さえ問題に感じ始めていることを報じた。エリック・アベツ行政問題相が、「スピン・ドクターの人数が膨れあがっており、何らかの対処が必要」と語っている。このスピン・ドクター人口は、立法府だけでなく、省庁局などの行政府に多く配置されている。過去2年で数百人増えたとされており、公務員であるため、その賃金は政府財政から支出され、年総額は1億9,000万ドルにものぼる。つまり、スピン・ドクターの平均賃金は国民平均所得を50%程度上回る年10万ドルと考えられる。

 さらにアベツ大臣は、「省庁から集められたデータは少し古いため、1,900人の中にはすでにリダンダンシーで解雇された者もいるかも知れない」と述べている。興味深いことには、2012年には同じアベツ上院議員が、ギラード労働党政権でのスピン・ドクター人数1,600人について、「ギラード政権はスピンだらけだ」と非難している。26日に発表された数字は、野党労働党のジョー・ラドウィグ上院議員の質問予定通告に対して文書で回答されたもので、2012年以来1年半でさらに300人のスピン・ドクターが新たに雇われていたことになる。省庁別では国税庁が265人、国防省は216人を抱えており、歩兵中隊1個半に相当する。

 2月、SMH紙はスコット・モリソン移民相の配下には66人のスピン・ドクターがいると報道したが、モリソン大臣が議会で「39人しかいない」と反論している。しかし、この食い違いの原因についてはモリソン大臣のスポークスウーマンは何の説明もできなかったと報道されている。2012年、アベツ氏は、「1,600人は軍とは言えないまでも連隊級の規模だ」と政府を批判していたが、現在の1,900人という人数については、「前政権から引き継いだ人数。減らすつもりだ」としている。(NP)

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