NSW州首相、連邦政権に苦言

人種差別禁止法改定に反論

 右翼シンクタンク「Institute of Public Affairs(IPA)」は、アメリカのジョージ・ブッシュ政権時代に我が世の春を謳歌した「ネオコン」グループに似ている。どちらも口では「自由」を唱えつつ、極端なエリート意識から社会を統制しようとする傾向がある。ブッシュ大統領に相当するのはさしずめジョージ・ブランディス法務長官というところである。しかし、アメリカではアフガニスタンもイラクも米英豪主導の「民主化」が無残な失敗に終わったことでブッシュ政権ともども、ネオコン・グループの「我が世の春」もあっけなく去ってしまった。

 人種差別禁止法の18Cを「言論の自由の抑圧」として、同条項廃止を唱えていた右翼論客やIPAに同調したジョージ・ブランディス法務長官が、同法の18C条などを廃止改定する法案を練っているが、選挙区少数民族コミュニティの改定反対におそれをなした保守連合議員から突き上げが出ており、ブランディス法務長官も法案草稿内容を軟化せざるを得なくなっている。しかし、自由党議員からは、「ブランディスは右翼のクール・エイドを飲み過ぎて興奮状態」との揶揄まで飛び出しており、「今後、さらに手直ししない限り、法案を上程できないだろう」との与党議員の声もある。ここで「右翼」がIPAを指すことはメディアでのIPAの発言とブランディスの動きを見れば想像に難くない。ブランディス法務長官の、「国民の偏狭でいる権利を擁護する」発言にはあっけにとられ、猛反発する声が噴出しているが、3月27日にはNSW州のバリー・オファレル州首相が、中国写真展オープニングの後の記者会見で、「人種、宗教不寛容の勢力に対する守りを緩めてはならない。偏狭な態度を意図的であろうと非意図的であろうと、大目に見るべきではない」と語り、ブランディス法務長官に挑戦した。

 ブランディス法務長官の「偏狭でいる権利」に対して、「たとえ偏狭であってもどんな考えを持つことも個人の自由だが、その考えをメディアなどで大々的に公開し、人をその人種民族を理由に侮辱したり、屈辱を与えたり、威嚇したりすれば、被害者が訴えることにより、適切な措置が取られるべきだ」というのが人種差別禁止法の主旨であり、ブランディス法務長官に対する批判もその線に沿っている。(NP)

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