「国民全員が平等に負担せよ」

ホッキー財相が幅広い予算削減警告

 不況の危険はまだ去っていないとの警告も出ているが、ジョー・ホッキー連邦財相が、「5月予算案は幅広い部門で予算カットがある。国民全員が平等に負担しなければならない」と警告している。

 ただし、ヨーロッパのギリシアからアイルランドにかけての周辺諸国で失敗しているようにむやみな緊縮財政は不況を悪化させる結果になりかねない。連邦政府は、5月予算案編成のガイドラインとなる「監査委員会」の最終報告書を受け取ったばかりの3月31日、ホッキー財相がメディアのインタビューに現れ、「財政は今後10年間赤字を続ける方向に進んでいる」と発言し、5月予算案に対する悲観的な憶測をあおっている。コメンテータの中には、「国民に最悪の事態を予期させておき、それよりちょとだけいい予算案を出せば、国民は批判なく飛びついてくる。それが保守連合政権の作戦だ」とうがった見方を明らかにしている者もいる。

 ホッキー財相は例によって前政権批判で口を開き、「労働党政権が設定した支出拡大が津波のように押し寄せてくる。ただちに是正策を採らない限り、オーストラリアの財政は二度と黒字にはならない。これに対して直ちに手を打たなければならない。そのためには、オーストラリア国民全員が少しずつ重荷を担がなければならない。重荷を少数の者に負わせればその者がつぶれてしまう」と語っている。

 やり直し上院選挙のためにWA州のパースに飛んでいる野党労働党のビル・ショーテン党首は、「政府の深刻予算警告は政略だ。初めから本気で国民のための政治をするつもりはないのだ」と政府を批判している。ホッキー財相は、5月13日の予算案発表までどの部門がカットされるかは明らかにしないが、「福祉も聖域ではない」とする一方で公共資産を民営化する方向に拍車をかけることも予想されている。2013年5月に与野党支持で成立した「全国障害保険制度(NDIS)」もすでに見直しの噂が流れている。また、トニー・アボット連邦首相が野党時代に保守連合議員に諮らず、一人で打ち上げた高所得女性優遇の「有給産児休暇制度(PPL)」は保守連合議員の間でも不評であり、アボット首相にとってはこの制度案を取り下げる絶好のチャンスになっているといえる。

 しかし、31日にはアボット首相は、WA州のコリン・バーネット州首相と、「WA州の3箇所でNDISを試験実施する」協定を結んだ。一方、野党労働党は、「アボット首相は、WA州やり直し選挙前に監査委員会報告書を公開すべきだ」としているが、保守連合はこれを無視している。また、WA州のやり直し選挙については、世論調査で、「難民船問題が最重要課題」とされており、未成年収容や国連難民条約違反、人権、暴動、殺人事件など様々な問題を抱えながらも一応難民船の豪領への渡来を阻止した保守連合政権への支持が固い。その代価が妥当なものかどうかは将来に持ち越されることになる。(NP)

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