保守連合気候変動政策に向かい風

パーマー氏が「直接行動は役立たず」 

 保守連合連邦政権の気候変動対策「直接行動」案は科学者もエコノミストも評価しない効果に乏しい対策の寄せ集めだが、トニー・アボット保守連合リーダーにとっては、労働党の「排出権価格付け取引制度」に対する対案として選挙前から打ち出している上に、保守連合内の「気候変動懐疑派」議員を動員して「取引制度」を支持するマルコム・タンブル氏をリーダーの座から引きずり下ろした過去があるだけに、「直接行動」案を撤回することは保守連合内外双方に対してメンツがつぶれる。

 アボット保守連合は、労働党政権期の「炭素価格付け制度(通称炭素税)」廃止法案を提出したが下院は通過したものの、3月下旬に上院で労働党と緑の党によって否決された。保守連合政権は、今年7月に新上院議員が初登院し、QLD州の鉱山富豪クライブ・パーマー氏のパーマー統一党(PUP)議員が勢力均衡の上に乗って決定権を握れば、炭素価格付け制度廃止法案を通過させられると踏んでいたが、4月21日にはパーマー氏が、「直接行動案は役立たず。予算を老齢年金に充てるべき」と発言、PUPが上院で保守連合案に反対票を投じる意図を明らかにした。

 4月22日にはグレッグ・ハント環境相が、「直接行動資金は予算案に含まれており、予算案に反対票を投じない限り、直接行動予算を否決することはできない」と発言しており、保守連合政権が「直接行動案」を法制ではなく、規則で進める考えであることを示唆している。

 パーマー氏はこれまでも気候変動に対して懐疑的な発言をしており、「炭素価格付け制度」にも「直接行動」にも反対の意思を表明したことになる。また、保守連合の「直接行動」案は、大排出量企業に「排出量削減技術計画補助金申請」を出させ、審査の上で「排出量削減技術導入」に資金援助するというもので、「炭素価格付け制度」のムチ政策に対して、アメ政策になっている。しかし、支出後に成果が現れる保証はなく、申請と審査という手続きが腐敗を生みやすいという欠点が指摘されている。(NP)

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