人種差別禁止法改定法案軟化か

超保守シンクタンクの影響弱まる

 ルパート・マードック系メディアや超保守シンクタンク「Institute of Public Affairs(IPA)」の後押しを受け、ジョージ・ブランディス法務長官が提出していた「人種差別禁止法改定法案」は、与党保守連合議員選挙区の有権者とくに大都市周辺部の少数民族系有権者からも厳しい反発を受け、強硬な態度を貫いていたブランディス大臣も、マードック系メディアやIPAを喜ばせて有権者の支持を失うことが得策かどうかに気づき始めたふしがある。

 同法は人種を理由に侮辱することなどを禁止しているが、改定法案ではこれを「威嚇や暴力」に限定するというもので、一般的な差別発言などはほとんどが見逃されるようになりかねない。そのため、多数の少数民族系団体が改定法案に懸念を示す意見書を提出した。また、当初には改定を支持していた自由党議員も改定を考え直した方がいいと認める有様になっている。さらには、5月予算案には経済界を除いて国民各界からの猛批判が出ており、政府支持率も急落している。さらには2013年9月選挙で敗れた労働党もこの反政府心情に乗じて政府攻撃を強めている。

 今年3月にも少数民族系有権者の反発に動揺した与党保守連合議員がブランディス大臣に法案の軟化を要求し、大臣もそれに応じたばかり。書き直された草案もまだ反対派をなだめることはできず、さらに内容を薄めることになっている。ブランディス大臣は、「5300通の意見書に眼を通しており、実に幅広い見地から様々な意見が出されている。すべての意見を考慮し、最終的な改定案にこぎ着けたい」と語っている。

 先には法案を支持していた一部の議員も今では「法案をじっくりと見直すべき」と認める有様だが、強硬な超保守系放言で知られ、トニー・アボット首相府政務次官から罷免されたコリー・ベルナルディSA州選出議員だけは今も法案を支持している。しかし、ティム・サウトフォマサネ人種差別問題コミッショナーのように、「何のために現行法を改定しなければならないのか? 国民の大多数は現行法で満足している。また、政府の行動は透明性に欠ける」と批判している。(NP)

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