炭素価格付制度廃止法案下院通過

決定権は上院のパーマー統一党に

 6月26日、連邦議会において、炭素価格付制度廃止法案が下院を通過した。同法案は以前に下院を通過したが、上院で否決されており、今回は2度目の提出。下院は与党保守連合議員が多数派を占めており、同法案の通過はまったく疑われていなかった。また、上院は現在与野党議席が拮抗しており、緑の党が決定権を握っているが、昨年9月総選挙で当選した上院半数の議員が7月1日より登院するため、勢力分布が変化し、パーマー統一党3議員が決定権を握ることになる。同法案が上院で否決されればトニー・アボット連邦首相は、両院解散総選挙に踏み切るか、同法案提出をあきらめるかしなければならない。

 25日夜、下院のパーマー議員が、「炭素価格付制度廃止法案に賛成するが、修正案として、消費者電力料金の炭素価格付分を引き下げるよう法的に義務づける」ことや、気候変動、再生可能エネルギー金融機関などの存続をトニー・アボット首相に要求している。また、かつて労働党政権が提出した排出権取引制度(ETS)を、当初排出権価格ゼロで新設することも掲げている。ただし、現炭素価格付制度は2015年からヨーロッパ市場に連結する排出権取引制度に移行することになっており、現段階での価格付制度廃止と排出権取引制度を支持は「パーマー氏の混乱」と見る識者もいる他、実質的にパーマー氏の政策は無意味と否定する識者もいる。下院は審議延期になる直前、「炭素税廃止法案」が通過し、大臣が互いに祝福した。

 ハント環境相は、上院でPUPが反対票を投じる意図を明らかにしている「クリーン・エネルギー金融公社」廃止法案を炭素税廃止法案などから分離した。一方、労働党も炭素税廃止と同時に排出権取引制度に移行する修正案を出したが保守連合議員に否決された。今後、「炭素税廃止法案」は新上院の7月7日または15日から審議が始まる予定。

 電力会社団体は、「電力価格算出基準は非常に複雑。炭素税が廃止されても電気料金が大きく変わることは考えられない」と発言しており、パーマー氏が保守連合政権に協力しても保守連合政権がPUPに対する約束を守るかどうかは、これまでの保守連合の公約破り頻度から言っても心もとない。政府は、「炭素税で電力料金は平均世帯で年間$550の値上がりになっている」と主張してきただけに同額の「値下げ」がない限り、保守連合の約束破りということになる。ただし、保守連合の自由党は弁護士政党なだけに言葉の言い抜けには抜きん出ており、今回も支持率低下覚悟で何らかの言い逃れをする可能性がある。(NP)

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