VICイスラム評議会が首相ボイコット

アボット翼賛体制的な発言に反発

 8月19日、一部のオーストラリア国民が海外のイスラム原理主義テロ団体に投じる動きが目立っているため、トニー・アボット首相が国内イスラム評議会などと話し合いを進める報道が流れていたが、わずか1日でVIC州イスラム評議会がアボット首相との話し合いをボイコットすると発表した。評議会側は、「アボット氏のチーム・オーストラリアは政府に対する一方的な恭順を要求するもの」と反発している。

 トニー・アボット保守連合政府は政策全体に権力主義的で強硬な姿勢が目立っており、国民各界との話し合いよりも一方的な従属を要求する態度が反発を招いている。上院では弱小政党との妥協交渉が必要とされることが明らかであっても議会での審議段階に入っても何の挨拶にも来ないと弱小政党議員が暴露し、あるいは国内専門家団体との協議が必要とされていても、柔軟さにかける態度で話し合いにもならない。外交でもインドネシア、中国などと外交とは思えないような傲慢粗雑な発言や態度で摩擦を引き起こしてきた。国内的には世論調査での支持率がじりじりと下がり続けているが、最近になってようやく、アボット首相が、「ジョージ・ブランディス法務長官が推進していた国民に評判の悪い人種差別禁止法改定法案は、チーム・オーストラリアの団結を優先するため、棚上げにする」と発表した。「チーム・オーストラリア」は、アボット政権が妥協政策に転じるために考え出した新しいスローガンとの観測もあった。しかし、現実には国民を一方的にアボット政権に従属させ、多様な意見を封じる全体主義的な翼賛体制という可能性も出てきた。

 15万人のムスリムを代表するVIC州イスラム評議会では、「アボット首相はムスリム・コミュニティに対して、『チーム・オーストラリア』に加われと促した。メルボルンでの首相との話し合いを拒否する」としている。アボット首相は、18日にシドニーでも同じような協議を行っている。しかし、マコーリー・ラジオに出演したアボット首相が、「ムスリム・コミュニティはチーム・オーストラリアの一員となってイスラム過激派に反対する発言をするべきだ。誰でも、この国、国益、価値観、国民を優先しなければならない。我々のチームに参加するつもりがなければオーストラリアに移民してはならない」と発言している。


 これに対してイスラム評議会のゲイス・クライエム書記長は、「アボット発言は勘違いもはなはだしく扇動的な発言だ。あれではまるで極右政治家の発言だ。自分の考えに反対なら帰れ、移民ならチーム・オーストラリアに入会しろ、いやなら来るななど、一つのコミュニティ全体をそのようにひとくくりにするというのは首相としてまったく不適切きわまる」と激しく非難している。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-08-19/islamic-council-of-victoria-boycotts-meeting-with-pm/5680466

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