失業手当給付条件厳格化廃案に

全方面から「非現実的」の批判受け

 トニー・アボット政府は、失業者問題では、失業手当の6か月間の待機期間、その間に求職活動または職業訓練を義務づけ、その後は6か月間の失業手当給付中に月40件の求職活動実績を義務づけ、6か月以内に就職できなければ再び6か月間の待機期間に入るなどとしている。しかし、5月予算案でこの失業者対策が発表されると、「無一文の若者にどうやって月40件の求職活動ができるのか?」という批判が各方面から殺到した。また、6か月の受給期間中には求職活動と最低賃金の半額で一定時間の公共事業労働が義務づけられることについても、「仕事をさせるならなぜ最低賃金を保証しないのか。政府が労働搾取するのか」などの批判が出た。

 しかも、アボット保守連合政権下で若年者層の失業率が上昇しており、全体平均の2倍にもなることが報告され、政府の制度案の向かい風になってきた。しかし、アボット保守連合政権にとっては手痛いのは企業経営者達が反対したことだった。経営者側が、「失業者は就職の見込みがなくても月40件の求職活動ノルマを達成するためだけに企業事務所に殺到してくるだろう。企業の負担は無視できない」と抗議の声を挙げた。また、最近には「6か月の待機期間は違法」との法曹界の意見も出ている。また、政府はこれまで、「失業者を福祉依存体質にさせない対策」と主張してきたが、専門家は、「失業手当受給者のほとんどが適切な仕事があれば働きたいと望んでいる」と、政府の主張を否定している。

 10月7日、エリク・アベツ雇用促進大臣が、「月40件の求職活動義務づけを廃案にする。現行通り月20件とする。政府は今も失業者がフルタイム雇用に入るよう努力すべきだと考えているが、企業の負担になることや求職申請が殺到することで求職申請書類の価値が損なわれるということを考慮した」と発表している。

 アベツ大臣の発表に対して労働党の雇用促進スポークスマン、ブレンダン・オコナー議員は、「保守連合政府の案がもともと愚の骨頂だっただけだ。毎月、失業者が3,000万通の求職申請書類を企業に持ってくるという結果が見えなかったのだろうか。これで終わりではない。30歳未満に厳しい新法制も廃案にしなければならない。あんな法案は若年者を路頭に迷わせ、反社会的行動に走らせることになるだけだ」と批判している。また、アボット首相が、「この撤回は私の政府が国民の声を聞くことを証明している」と発言したが、ビル・ショーテン労働党党首は、「国民の声を聞く政府ならなぜ法案を作る前に国民に聞かなかったのか。廃案さえも、国民の声どころか企業経営者の声だけで決めているではないか」と批判している。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-10-07/government-backs-down-on-controversial-dole-changes/5794540

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