やはり金持ちに甘く貧乏人に辛い予算

NATSEMの分析で所得への影響判明

 10月10日、キャンベラ大学の国立社会経済モデリング・センター(NATSEM)がトニー・アボット保守連合政権初の5月予算案を分析した結果、アボット首相、ジョー・ホッキー財相、マルコム・タンブル通信相、ジュリー・ビショップ外相らの選挙基盤である高所得者層の負担がもっとも軽く、シドニー首都圏やメルボルン首都圏北部など労働党選出地区の低所得住民の負担がもっとも重いという結果になった。

 「財政黒字回復」をうたった財政引き締めの保守連合予算案は財界と高所得者層を除くほとんどすべての方面から、「金持ちと企業優遇で低所得者に苛酷な予算」との非難が出ていたが、それを裏書きする結果になった。

 NATSEMは、予算案が成立した場合の2018年度までの各所得階層の手取り所得の変化を調査した。その結果、平均所得の高い自由党保守政治家選挙区高所得住民は「財政黒字回復」をほとんど負担せず、たとえばシドニー首都圏西部の中低所得者の負担額の方が大きくなっており、もっとも負担の大きい16選挙区のうち15選挙区が労働党議員選出区だった。

 NATSEMのモデリングでは、家族手当の廃止、年金の連動制変更、30歳未満の失業者のNewstart制度変更など予算案に盛り込まれた内容の他、予算案発表以後に確定した政策、学童ボーナスや炭素税の廃止も計算に含められており、それらを総合した世帯の可処分所得の変化を分析している。もっとも負担の大きいのはシドニー政府のジェーソン・クラーク氏のブラックスランド選挙区で、年間可処分所得減は2018年度までには$990になり、子供のいる世帯では手取り所得減はその倍以上になる。ついでトニー・バーク労働党議員のワトソン選挙区の世帯所得減は$935にもなる。もっとも負担が小さいのはタンブル通信相の選挙区シドニー東部の富裕地区ウエントワース選挙区で年間可処分所得減は$69.50にしかならない。当然ながらウエントワース選挙区住民の年間平均所得はブラックスランド選挙区住民のそれをはるかに上回っている。また、ホッキー財相のノース・シドニー選挙区では年間可処分所得減は$138.80、WA州のビショップ外相のカーティン選挙区では$141.70、アボット首相の選挙区では$144.60の所得減となっている。
 調査資金はSA州の労働党政府から出されたが、NATSEMでは、「調査中、SA州政府からは一切の干渉どころか、連絡さえもなかった」として、依頼主の影響を否定している。(NP)

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/seats-held-by-tony-abbott-and-joe-hockey-are-among-least-affected-by-budget-report-20141010-1146ct.html

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