「海外戦闘員法案」は人権に抵触

連邦上院調査委員会の判断

 豪政府諜報機関などが、「海外の戦闘行為に参加するおそれがある」と判断した人物の旅券の効力を短期間の通告で停止したり、海外戦乱地域で豪政府が定める地域に有効な理由なくして渡航することを禁じたりする法案、「Foreign Fighters Bill(海外戦闘員法案)」の条項には一部人権に抵触する内容があることを連邦上院調査委員会が認めた。

 通常、刑事訴訟の対象となる犯罪行為は、その行為が実際にあったことを検事側が立証する責任を負っており、被告人側はその行為が実際にはなかったことを立証する責任を負わない。しかし、同法案では、その立証責任を被告人に負わせることになる。たとえば、政府が海外戦乱地域として定めた地域の家族や親戚を訪ねた場合や地域で人道援助のボランティアを行った場合などには公的書類で「有効な理由」を証明することが難しいか、不可能である。

 現在、上院で審議されているこの法案では、「テロリズム行為を話し合ったり、称揚したり、奨励したり、迫ったりする」ことを禁じ、罰則は5年の懲役が定められる。しかし、ディーン・スミス自由党議員が委員長を務める与野党調査委員会では、有効な理由の立証責任を行為したとされる側に負わせることは、「公正な裁判を受ける」権利と「推定無罪」の原則に抵触する可能性が強いとの判断を出した。

 調査委員会では、国防関連法案監査機関の精査を受けるまで諜報機関の権限拡大を見合わせるべきとの判断を下した。また、政府が「緊急法案」として立法化を急がせていることが適切な精査を阻害してきたことも付記している。

 反テロリズム法制は現在3段階にわたって諜報機関の権限強化などを盛り込んでおり、すべてが法制になれば、諜報機関が容疑をかけた人物に対して理由を告げることなく逮捕拘禁するなどが可能になる。これに加えて国家機密関連法案強化で、「諜報機関が容疑者を拷問したり、殺害しても、その諜報機関の犯罪を暴く」ことも犯罪とされ、ジャーナリスでも投獄される結果になる。そのため、この一連の法案は、「オーストラリアの秘密警察国家化」と危惧されている。(NP)

http://www.abc.net.au/news/2014-10-28/foreign-fighters-bill-likely-to-infringe-on-human-rights/5849198

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