政府、大学予算削減で聖職者教育に

宗教色強める政府に野党批判の声

 オーストラリアは世俗国家であり、立法・行政・司法は、一般あるいは特定宗教に特別の恩恵を与えることは建前として禁じられている。しかし、ジョン・ハワード前保守連合政権が国家予算で学校付き聖職者制度を立ち上げた。トニー・アボット政権はさらに宗教色を強化し、この制度に2億4,400万ドルの予算を計上する一方で大学で心理学などの資格を得た専門のカウンセラーに対する資金を停止した。すでに多くの学校で予算終了とともに教職員や生徒に惜しまれながら無宗教色の有資格カウンセラーを解雇したことが報道されている。

 12月5日、アボット保守連合政府は、大学予算を大幅に削減する一方で、民間カレッジ、TAFEの他、聖職者やその他の宗教団体職員養成機関の生徒にも国家補助を出す制度を計画していることが報道された。

 国立大学の国家予算は20%削減されることになっているが、宗教教育職業訓練機関は今後3年間に計上されている教育予算8億2,000万ドルから補助を受けることができるようになる。

 労働党と緑の党はこれを「政教分離の原則に違反」と批判を強めている。ボブ・デイ家族第一党上院議員は、政府の「大学改革法案」支持の理由として宗教職業訓練機関への国費からの補助を挙げている。しかし、キム・カー労働党高等教育担当スポークスマンは、「宗教と国家の関係に深刻な疑義をはらんでいる。これまで宗教教育職業訓練経費は宗教団体が負担するものだった」と批判している。また、緑の党の高等教育担当スポークスウーマン、リー・リアノン上院議員は、「クリストファー・パイン教育相は、国立の世俗的な大学の金を盗み、民間の宗教カレッジに与えようとしている。これが正しい高等教育予算配分だろうか?」と批判している。

 パイン教育相は、一旦上院で否決された大学改革法案に修正を加えて2015年の議会再開時に下院に提出することになっており、宗教教育への予算配分はデイ議員のような宗教系議員の賛成票を取り付けるための作戦と考えられる。

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/abbott-government-cuts-university-support-funds-priests-training-20141205-120a3c.html

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