有給産児休暇制度の大幅縮小

アボット首相が温めてきた有給産児休暇制度

 トニー・アボット連邦首相が長年温めてきたといわれる本制度、有給産児休暇制度の内容が再び大幅に縮小されることになった。

 現行有給産児休暇制度は前労働党政権期に制定された、現所得水準にかかわらず一律18週間最低賃金を保障するというごく控えめな制度だが、トニー・アボット現連邦首相は、ジョン・ハワード前保守連合政権期の保健相だった時期から温めてきたといわれる「年所得15万ドルまでの26週間休暇開始時の賃金を保障する」という有給産児休暇制度を提唱した。この制度は、大企業から拠出させ、国家財政からの支出と合わせて財源とするもので、企業からの拠出金反対と、野党や福祉団体などからは高所得女性を優遇し、低所得女性、農家や自営業、専業主婦を冷遇する制度だとの批判が出た。

 アボット首相は批判に対して、年所得を10万ドルに引き下げることで支持を増やそうとしたが批判はおさまらなかった。12月7日、首相は、制度案の大幅見直し、所得上限を設けるなどして節減分を保育所制度の財源に振り向けると発表した。制度の55億ドルという予算には党内からも「緊縮財政を言っている時にとんでもない高価な制度」との声があり、また、父兄、保育専門家からは「財源を早期児童教育や保育などに充てるべき」との意見が出ていた。アボット首相は、「夏休み中に制度案の改定を検討する」と語っており、所得上限を設けることで「補助対象を的確に絞る」と語っている。ただし、財源を振り当てる保育制度には、「家庭保育」の「乳母」をも含めるとの考えも示している。集団保育と異なり、「乳母」は子供1人を子守りが世話するというもので普通は高所得者世帯が対象になる。このアボット有給産休制度案に対して生産性委員会は、制度の経費を保育制度に振り向けることを勧告していたが、アボット首相はこれを拒否していた。政府は2015年7月までに法制化したい考えで、大企業が1.5%の特別税を納めるという財源方式は変わらない。

 これまで一枚岩を誇ってきた保守連合政内部から様々の不協和音が聞こえてきており、平議員からも権力が首相のピータ・クレドリン主席補佐官に集中しすぎているなどの不満が高まっている時期に、首相はいくつもの法案の撤退を余儀なくされている。

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/prime-minister-tony-abbott-refines-paid-parental-leave-scheme-20141206-121voi.html

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