「中小事業向け減税は効果低い」

エコノミストが連邦政府予算案に警告

 5月21日、エコノミストが、「トニー・アボット連邦政権の2015年予算案に盛り込まれた中小事業向け減税は政府の期待ほどの刺激効果はない」と警告している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 また、予算案の数字がすべて検算された現在、今年の予算案も昨年予算案同様で見かけほどの公平さがないことを追及されるだろうとしている。

 警告を発しているエコノミストの1人は、バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチのエコノミスト、ソウル・エスレーク氏で、今年、現政府にとって2回目の予算案で、年商200万ドル以下の中小事業に対して法人税率を30%から28.5%に引き下げることを予算案に盛り込んでいることに対して警告したもので、アボット首相やジョー・ホッキー財相が、「中小事業者は雇用を生み出し、産業改革を進める原動力」として、2015年予算案では中小事業優遇の予算方針を打ち出した。この方針は予算案発表直後の世論調査で保守連合支持率が跳ね上がるほどの人気だったが、2013年連邦総選挙時の「財政黒字回復」がますます遠ざかる結果になっており、エコノミストの間では「国益よりも政権維持が狙い」との評価を受けていた。

 エスレーク氏は、「減税の恩恵を受けるのは予想よりはるかに少数の事業のみであり、経済成長を促す刺激効果はほとんど見られないだろう。もともと中小事業はほとんど利益を挙げていないか、課税額に達していないというのが大部分で、63%の事業所は1.5%ポイントの減税で何のメリットもない。また、メリットのある事業も減税の恩恵はあまりにも小さくて、そのために格別雇用を拡大したり、設備投資を増やそうとすることはない」と分析している。

 豪統計局(ABS)の数字によると、オーストラリア国内では2014年度には2,100,162の事業所が事業活動を行っており、そのうち93.6%にあたる1,964,000を超える事業所が年商200万ドル以下だった。アボット政府の減税の恩恵を受けるためには年商200万ドル以下で、しかも課税額水準の利益を出していなければならない。しかし、国税庁(ATO)のデータによると、2013年度の場合、その条件を満たす事業所は37%程度だった。

 さらに、豪社会経済モデリング・センターのベン・フィリップス主任研究員によると、「昨年予算では子供のいる低所得世帯の場合、年$2000から$4000の経済的負担増加だったが、高額所得世帯ではほとんど何の負担増もなかった。今年の予算案でも家族手当や年金の面で昨年の不公平予算を是正する内容には程遠い。一部の中低所得世帯は恩恵を受けるが全体としてみれば昨年予算の不公平はまだ尾を引いている」と語っている。
■ソース
Small business tax cut ‘will not be as effective’ as Abbott government thinks

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