WA州で絶滅危惧種肉食蝶の調査

保存に向けて蟻塚との共生寄生関係

 草花を食べ、蜜を吸うだけと思われている蝶々に肉食の種がいる。蝶々全体の1%程度にすぎないが、アリやアリマキと共生・寄生関係を営んでいる。世界的にもシジミチョウに肉食種が多く、日本ではゴイシシジミという一種だけが知られている。WA州の絶滅危惧種の肉食蝶の保存を視野に入れ、科学者チームが近郊地帯や穀倉地帯で蟻塚を調べ、この肉食蝶のコロニー発見に努める計画を考えている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 この蝶はヤドリギシジミの仲間で、「Ogyris subterrestris petrina(arid bronze azure butterfly)」と呼ばれており、世界でもWA州にたった一つコロニーが知られているだけ。この蝶は、最近になって、連邦の絶滅危惧種科学委員会が絶滅危惧種から絶滅寸前種に格上げした。この蝶のコロニーはパースの北東内陸の穀倉地帯、ムキンブディンに見つかるだけである。

 州国立公園野生局の研究チームは、この蝶がオオアリと特異な共生・寄生関係を持っていることに注目している。マシュー・ウィリアムズ研究主任は、「この蝶はアリの巣の近くに卵を産み付ける。ほとんどの肉食蝶の幼生も主食は植物で、ただアリの好きな蜜を分泌し、アリが集まってこの幼生の世話をする。ところが、この種は、植物をエサにすることをやめ、運ばれたアリの巣穴でアリの幼生を食べて育つ完全な肉食になっている。

 この蝶々は、1980年にカルグーリーの南12kmのレーク・ダグラスで発見され、1993年にはアリのコロニーそのものがが消滅、科学者をあわてさせていた。しかし、蝶マニアがムキンブディン付近でこの蝶を見つけ、同定のため、標本を採集していた。

 ウィリアムズ博士は、知られている蟻塚のデータからこの蝶の新しいコロニーを見つけられないかと考えており、「たった一つのコロニーがブッシュファイアや、レーク・ダグラスで起きたように蟻塚そのものが消滅してしまえば、この蝶も絶滅する。ムキンブディンではこの蝶の個体数調査もするが、アリのコロニーの分布も調査する予定だ。このアリそのものは珍しくないが、大規模なコロニーを見つけることは困難だ」と語っている。
■ソース
Researchers embark on search for endangered carnivorous butterflies

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る