NSW州政府の野生馬保護計画で科学顧問辞任

コシウスコ国立公園地域の自然保護問題で対立

 豪大陸大分水嶺の一部を形成するNSW州南部からVIC州北部にまたがるアルプス山岳地帯のコシウスコ国立公園では野生化した馬の頭数が増えており、高山帯の自然を保護しようとすると野生馬を全数捕獲するか殺処分しなければならない。そのため、自然保護派と野生馬保護派の対立が続いており、VIC州とNSW州の政府は野生馬の捕獲と殺処分の計画を発表していた。しかし、NSW州政府が野生馬保護派の圧力に殺処分計画を撤回し、野生馬保護計画を掲げたため、州政府の科学顧問が抗議辞任した。野生馬保護派は主として牧場主や乗馬レクリエーション・グループなどで構成されており、一般的な動物保護団体とは少し異なっている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 辞任したのはチャールズ・スタート大学の生態学者、デビッド・ワトソン教授で、2015年1月以来NSW州政府の絶滅危惧種保護科学委員会のメンバーを務め、州内の絶滅危惧種の動植物の保護管理に関する顧問を務めていた。

 しかし、6月6日に州政府が、科学委員会の答申に反して、「2018年制定コシウスコ野生馬文化遺産法案」を通過させ、同地域の野生馬に保護動物待遇を与えた。

 ガブリエル・アプトン環境相は、「法案は、環境保護と、この地域に200年間棲み着いている野生馬の文化遺産的価値の間でバランスの取れた措置だ」と語っている。

 しかし、ワトソン教授は州政府の決定に同意できないとして、「責任を負った大臣がこの法案を支持したとはどういうことだ。委員会の勧告を考慮したとふりをするつもりだろうか。私は自分の良心に照らして、このようなことに自分の時間を費やすつもりはない」と語っている。

 また、政府に宛てた辞表の中で、ワトソン教授は、「国立公園で野生馬がもたらすダメージは何の曖昧さもなく明瞭だ。野生馬の群は、国立公園内の動植物と生態系にマイナスの影響を与え続けている」と述べている。

 NSW州政府の決定にはオーストラリア科学アカデミーも公開状で批判を加えている。
■ソース
NSW brumby protection plan sees scientific adviser quit

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