早すぎた「アラブの春」の評価

アル・ジャジーラ記者に7年の懲役

 エジプトの反ムバラク政権運動は女性ジャーナリストが群衆からセクハラ、果ては強姦されたりとの報道が続き、男性ジャーナリストも暴行を受けたり、不当逮捕されたりしたことが伝えられ、西側諸国が「アラブの春」ともてはやしていた頃からすでに暗い先行きが予感されていた。その後、軍政に入り、ムバラク裁判は終始公正明大にはほど遠かった。2012年にはムスリム同胞団が政権を握ったが2013年の軍部クーデターで崩壊、同胞団がエジプト国内でテロリスト団体として非合法化され、1000人を超えるメンバーが集団裁判で死刑判決を受けるなどしている。一方で暫定政権のジャーナリストに対する弾圧は同胞団政権よりも悪質といわれており、エジプトの安定民主化はまだまだ遠い。

 そのような状況を背景にオーストラリア人、ピーター・グレステ氏を含め、アラブ系メディア、アル・ジャジーラ所属のジャーナリストが、「虚偽報道を流した」と「同胞団に協力した」などの容疑で逮捕起訴されていたが、被告人はいずれも容疑を否定していた。6月23日夜(豪東部時間帯)にはグレステ氏とモハメド・ファフミ氏が7年、バヘル・モハメド氏に対しては、銃弾1個を所持していたとして、3年が追加されている。

 このジャーナリスト有罪判決に対して、アル・ジャジーラを先頭にメディア機関、西側諸国政治家から直ちに非難発言がわき上がっており、オーストラリアでもジュリー・ビショップ外相やトニー・アボット首相が、「報道活動をしていたジャーナリストに対して有罪判決と思い刑罰が科せられることは理解に苦しむ。アブデル・ファタハ・アルシシ新大統領には判決に介入してもらいたいと伝えている。今後もエジプト政府に働きかけていく」と声明している。

 エジプト外相は、「エジプトの司法制度の独立と判決の公正を疑う外国勢力の発言には強く反対する。エジプト外務省は、外国からの内政干渉を排除する」と発表している。

 判決を見守っていたグレステ氏の兄弟、マイケル・グレステ氏は驚きと痛恨を明らかにしており、オーストラリアの両親も「7年とはひどい」と落胆している。アル・ジャジーラは、「昨年のクーデター以来、当放送局社員が組織的な襲撃、脅迫、逮捕、機材没収などの弾圧を受けてきている。今回の3人の他にも6人が判決を受けているが、いずれも一片の証拠もなく、虚偽の容疑で訴追されてきた」と発表している。(NP)

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