「難民船渡来はない」とモリソン移民相

「2隻クリスマス島付近に」の証言多数

 国内難民支援団体が、衛星電話でクリスマス島付近の海上を航行する難民船の船客と連絡を取り合ったという報道があり、また、クリスマス島住民が、海軍艦船将兵が夜中に忙しく準備しており、翌朝には艦船の姿が港から消えていたという報告も伝えられていた。

 しかし、スコット・モリソン移民相は報道陣に対して、「難民船渡来はない。何も話すことはない」と断言しており、報道と政府発表が真っ向から対立する状況になっている。トニー・アボット保守連合政権は「よらしむべし、知らしむべからず」という専横的な政治が激しくなっており、5月予算案発表以来2か月近くが経過しても未だにまとまりがつかないまま推移、オーストラリア連邦議会では1975年11月のゴフ・ウィットラム労働党政権罷免直前の予算案危機以来の異常事態。

 ABC放送は、「難民船2隻がオーストラリア領海内で海軍巡視船に拿捕された。クリスマス島に向かっている。アボット政権が難民船渡来を阻止したと発表しているが、半年ぶりの難民船渡来になる」と報道しているが、「アボット政権はその事実さえ明らかにしないつもりらしい」とも報じている。

 しかし、伝えられている2隻のうち1隻はスリランカ北部のタミル系住民が、子供37人を含めて153人が乗っており、インド南部を6月に出航したと衛星電話で語っている。そのため、海軍が拿捕してもこれまでのようにインドネシア領海に押し戻すことはできず、また、インドに曳航することもできない。スリランカは政府軍とタミル独立運動の内戦は終了しているが、タミル人に対する迫害が今も伝えられており、153人をスリランカに送還すれば再び難民高等弁務官事務所との対立が深まることになる。結局、クリスマス島経由でマヌス島かナウルに送ることになるが、37人の子供の措置が注目される。

 マコーリー・ラジオに出演したモリソン大臣は、「作戦を発表しないことで人間密輸業者の商売を根絶した。今後もこの方針に変更はない。労働党と緑の党は難民船の運命を質問することで人間密輸業者の仕事を支援していることになる」と語っている。

 これに対して、ビル・ショーテン労働党党首は、「難民船の状況を質問することは理不尽ではない。人間の生命の安全がかかっているのだ」と反論している。また、セーラ・ハンソン=ヤング緑の党上院議員は、「保守連合政権の完全黙秘は政策の失敗を覆い隠すものだ。難民船渡来が停止したとは信じられない。政府が渡来を隠しているだけだ」と語っている。

 また、クリスマス島に滞在しているアラナ・マクティアナン労働党下院議員は、「6月27日夜から28日午前1時頃まで海軍艦船が忙しかった。26日には本土から連邦警察幹部が島に来ており、眼についた。その頃には難民船が近くに来ているという情報が流れていた」と語っている。また、島の収容所職員が「300人分のベッドを用意する」よう指示されたとも報道されている。

 一方、インドの沿岸警備当局はインド政府を通じて、「難民船出航の事実をつかんでいない」と発表している。(NP)

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