語学力、キャリア・アップにフォーカス!グローバル人材としてオーストラリア/日本で「働く」②

留学を志し来豪した際、日本に帰国後の就職·転職のために語学力向上や資格取得に励もうという人、現地での就職、キャリア·アップを目指そうという人は多いのではないだろうか。本特集では、日豪両国での就職に必要な準備や採用動向を始め、グローバル人材として活躍するためのヒントなどを、専門家のアドバイスと併せて紹介する。

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オーストラリアで働く

就労可能なビザ

永住権・市民権保持者でない人がオーストラリアで働く場合、就労許可のあるビザを保持していることが必須条件となる。例えば就労ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ、学生ビザなどが挙げられる。

ただし上記のようなビザがあれば無条件に働けるというわけではなく、ワーキング・ホリデー・ビザの場合は同一の雇用主の下での労働は6カ月以内(場合により1年)、学生ビザなら労働時間は2週間で40時間以内などの規則がある。移民局のウェブサイトなどでビザの条件など詳細を必ず確認しよう。

■オーストラリア移民局
Web: www.australia.gov.au/information-and-services/immigration-and-visas

仕事の探し方

オーストラリアにおける求人の情報源は、①オンライン求人サイト「Australian Job Search」(Web: jobsearch.gov.au)や「Seek」(Web: www.seek.com.au)、「Adzuna」(Web: www.adzuna.com.au)など、②新聞の求人欄「Sydney Morning Herald」(土曜版)など、③大学の掲示板、④口コミなどがある。

主流はインターネットでの情報収集だが、オーストラリアでは「口コミ」の力も大きい。企業側が社員の友人・知人などに適切な人材がいないか尋ね、どうしても見付からなかった場合に求人情報を一般公開する、というのも珍しい話ではない。それは「信用」が重視される社会だということを示している。履歴書に推薦人(Referees)を2~3人記入するよう指定されたり、以前働いていた会社からの推薦状が重視されることもあるなど、人物考査を重んじる傾向からも、オーストラリアのビジネス・シーンがいかに信用を大切にしているかがうかがえる。

カジュアル・ジョブ(アルバイト)の場合、求人情報が店頭に貼り出されていたり、自ら履歴書を持ってさまざまな店舗に配り歩いて連絡を待つという方法で職探しをするのも一般的だ。

雇用形態、条件

雇用形態は、雇用契約期間や労働時間により、①フルタイム(Full-time)、②パートタイム(Part-time)、③カジュアル(Casual)に大別される。

参考:Web: www.fairwork.gov.au/employee-entitlements/types-of-employees(Fair Work Ombudsman)

オーストラリアでは新規採用後、試用期間(Probationary Period)が設けられていることがほとんどだ。大抵3カ月、まれに6カ月という企業もある。そして日本の場合、健康保険や通勤交通費などは雇用者が全てまたは一部負担するが、オーストラリアでは個人負担が一般的だ。

また、オーストラリアで働くためには9ケタのタックス・ファイル・ナンバー(Tax File Number/TFN)が必要だ。TFN取得申請はオーストラリア国税局(Australian Taxation Office/ATO)のウェブサイトからオンラインで無料で行うことができる。

参考:Web: www.ato.gov.au/individuals/tax-file-number(ATO)

日本で働く

オーストラリア留学を経て

オーストラリアでの語学留学や職務経験を積んだ後、日本での就職を考える人も多いだろう。日本に帰国し、就職活動をスタートする予定の人も、オーストラリアでの体験を踏まえ、どのように行動すべきか戸惑うこともあるかもしれない。

海外にいても、帰国前からオンラインの就職支援サービスに登録して情報収集をしたり、今後のキャリア形成について相談をすることも可能だ。

また、帰国後の就職を希望する人のための海外での合同企業説明会などもあるので、そうした情報をしっかりつかめるようアンテナを張り巡らせておくことが大切だ。少なくとも、帰国の半年前には準備を始めておいた方が良いだろう。

日本企業が求める人材

近年、日本企業はグローバル人材を求めていると言われている。グローバル人材とは一般的に、「英語など多言語が操れる」「外国人と接することに慣れている」「外国人の仕事の仕方や物事の考え方に触れ、それを知っている」「しっかりと日本人としてのアイデンティティーを持っている」人物のことだ。

留学経験とは上記のことが成し得る環境下にいるということなので、留学生は皆グローバル人材になり得る。しかし、今後のキャリアを見据えて計画的に行動しない限りは、単に海外に行っていた人、外国に滞在していたのに大して英語ができない人となってしまうので、真剣に就職を考えているのなら、危機感を持って計画的に取り組むことが必要だ。

そして、グローバル人材であるかどうかを判断する基準として企業が重点を置くのが、①TOEIC730点以上(最近では800点以上とも言われている)・ケンブリッジ検定FCEレベル以上、②専門スキルや知識を身に付けるコースなどを終了した証明書、③英語環境での職場経験の有無、④ビジネスレベルでの実践英語力などが挙げられる。つまり、履歴書に上記の内容を書くことができると、グローバル人材候補として、企業が注目してくれる。

留学時に念頭に入れておくべきこと

目指している就職先の企業が何を求めているのかが分かっているのなら、その採用条件や予想される期待内容を把握し、現在の自分と照らし合せた時に生じるギャップがあれば、それを埋めていく資格や語学力、経験などを積む必要があるだろう。

明確な目標はなく、漠然としているのであれば、必要なものとして①英語環境でのインターンシップ経験、②ビジネス・レベルで使える英語力習得・ケンブリッジ検定FCEレベル、③TOEIC730点以上(最低履歴書に書けるのは600点以上)、④専門分野やスキルを用意しておくと良い。

語学力アップの方法はそれぞれだが、まずは語学学校などで中級レベルまで上げること。それがないと上記の①、②、③には進めない。また、どんな職業に就きたいかで何を磨くかが異なってくる。単純にコミュニケーション能力を磨きたいのなら、そういった環境が期待できるインターンシップを経験すると良いだろう。また、ビジネス・レベルで使うメールや電話応対、会議などを英語でできるようになりたいのであればケンブリッジ検定FCEの取得が有効だ。

専門スキルを用意するには、ビジネス、IT、HRなど分野によって異なるが、訪日外国人を対象とする業種のスキルを学ぶのも良い。例えば、高級ホテルなどでのホスピタリティー、マッサージや美容などに関連するスキル。英語教師であれば、J-SHINEやTESOLといった英語を使って英語を教えることができるスキル、日本語教師であれば日本語教師養成講座(420時間)など、留学しているからこそ取得可能な資格や、今後の日本の社会環境を見据えたスキルなどが重宝され効果的だと言える。

留学経験者の強みの生かし方

海外での経験と日本社会の独特なビジネス・マナーの両方を理解している人材は、日本企業でも求められている。特に日本で就職する場合、長期採用を考える企業が多い。経験がなくても必要な知識は入社してから教えるという考えの企業も多数あるため、日本のビジネスのノウハウを持ち、海外のビジネスのノウハウも心得ている、そして英語力のみではない経験、コミュニケーション、苦境に立った時に対処できる人間性が重視され、そういった人材であれば、将来が期待されるだろう。

留学時は、語学、異文化理解など会話だけに限らずコミュニケーション能力(相手を理解する力などを含む)が養える環境下に置かれる。そのため、それが生かせる商社、旅行・観光業、ホテル業、ホスピタリティーなど、人と接する機会が多い業種を目指すのも良いだろう。海外進出している、外国人を対象に仕事をしている日本国内企業などの営業職、人事、日本語教師、英語教師なども留学経験者ならではの仕事となり得る。

具体的なプランを立てよう

日本帰国後に就きたい職業など、明確な目標があるのなら留学中に身に付けておくべきことなど、しっかりとプランを立てることが重要だ。限られた時間の中で目標を達成するためにも、帰国予定日から逆算して準備を進めよう。

一般的に就職に必要な中・上級程度の英語力を付けるためには、8~16週間程度語学学校に通う必要があると言われている。その上で英語環境での職場経験(インターンシップ)を4~12週間程度するのが理想的だ。また、必要に応じてビジネス・レベルの英語を学習できるコース(ケンブリッジ検定など、10週間程度)を受講したり、TOEICで高得点を取得するために、2~4週間程度の学習時間を設けると良いだろう。

そして、授業料などの費用の準備や工面するためのアルバイトに要する時間などもしっかりとプランに加えておこう。これらの計画を実行するには、最低でも半年から1年は掛かるため、計画的に進めることが望ましい。

また、人材派遣登録会社への登録も少なくとも就職する半年前くらいにはしておくと良い。登録をすることにより、無料で就職活動に向けてのエントリーシートの書き方などのアドバイスを受けることもでき、具体的なプランを立てるためのサポートをしてくれる所もある。多くの求人情報を送ってもらえるため、さまざまな情報を入手できるもの利点だ。

人材派遣会社を有効的に活用することで、就職活動前に多くの情報を収集でき、自分が何を準備するべきかなど目標設定とその計画や準備が明確になる。そして、多くの就職先の情報を無料で紹介してくれたり、その後の面接のアレンジをしてくれることもメリットの1つと言える。就職活動を真剣に考えているのであれば登録しない手はないだろう。

<オーストラリア生活1カ月目>

語学学校

基本的な英語力を身に着ける。

<生活にも慣れてきた3カ月目>

インターンシップ

企業インターンシップ(無給)、ホテル·インターンシップ(有給)、日本語教師アシスタント·インターンシップ(無給)など社会人としての基礎を身に付けるために、実践的な英語を使って働く。将来携わりたい業種の経験が積めるチャンスでもある。

<7~9カ月目>

ケンブリッジ検定、BULATS

実務で使える英会話力を持っていることを証明する資格を取る。ケンブリッジ検定とBULATSは有効期限がないので一生物だ。ケンブリッジ·コースは10週間から、BULATSコースは4週間からある。余裕を持って計画し、入学申し込みをしよう。

<帰国直前の11カ月目 >

TOEIC

日本企業の70%が採用の基準としているTOEICは、600点以上が履歴書に書けるレベル。外資系、海外部門を希望するなら730点以上は必須だ。オーストラリアで受検すると、1週間で結果が出るので帰国後すぐに就活活動を開始できる。

2019年の採用動向

予想を上回る勢いで推移している訪日外国人の数や、2020年の東京五輪開催に向けて関連する業界、例えば旅行・観光・ホテル、マッサージや美容のリラクゼーション、飲食などのホスピタリティーなどではグローバル人材が求められる動きが見られる。また、上記に関連して日本進出を狙う外国企業でも英語ができる秘書などが求められる。

また、日本の逆ピラミッド型の人口構成により発生している外国人労働者への依存傾向が見られる。そのため、外国人労働者に日本のしきたりや接客マナーなどをしっかり伝えられる人事や教育係、間に立ってサポートする人材が必要とされ、日本語教師も多くの需要があると言える。

更に、日本の匠の技を持つ企業の海外進出に向け、日本文化などをよく理解し、それを外国人にどう伝えるべきかを知るグローバル人材も求められている。例えば、日本酒の醸造会社が海外への販路を見出すためにグローバル人材を採用するなど、日本の文化、技術、匠の技を海外に発信できる人材獲得を目指す会社は多い。

効果的な自己アピール

■履歴書

就職活動をする上で、履歴書の書き方は重要な要素となる。表現内容が不十分だと、実力があったとしても書類選考ではねられる可能性があるからだ。また、逆に言うと書き方によっては面接など次のステップへの確率を上げることができる。

履歴書は読みやすく、できるだけ具体的に書こう。職歴にはただ業務内容を書くだけでなく、具体的に何をしていたのか、応募先の企業が求める人材像を意識しながら簡潔に記載しよう。例えば、日本食レストランで働いていたとして、料理の説明から合うお酒の種類まで、顧客の要望に応じて常に英語で対応していた、毎日のミーティングでリーダーとして英語で指示を出したり、他のスタッフを指導していたなど、どのような実務経験があるのかを具体的に書くと効果的だ。このように具体的な表現をすることによって、いかに外国人と関わっていたか、外国人の対応をしていたかを、相手にイメージしてもらえるようになる。そして、どのように英語でコミュニケーションを取っていたかなどということを分かりやすく書くことによって、英語を使った実践的な対応能力があるという評価にもつながりやすくなるだろう。

また、自身がその仕事に就いたことで達成できた「成果」を詳しく記すことも重要だ。単にそこで働いていたという記載ではなく、何をしていたかを具体的に記入し、希望する企業が何を期待しているのかをきちんと予想し、自分が経験したことを生かし、そこで何ができるかを伝えることが大切だ。当然、そのような内容を書くためには実際に語学力を高める訓練、そして多くの経験を積むことが不可欠だ。また、就職を希望する企業に貢献できることを示せる表現内容にすることが大切だ。

■面接

面接に向けてのアプローチはとても重要だ。就職希望の企業が何を求めているかをきちんとリサーチし、その上で自分に何ができるのか、何がアピール材料となるのかを吟味して、それをどう表現するかを考えることを欠かしてはならない。

日本では、社会風習的な背景があるので、過度なアピールや表現は避けたほうが無難かもしれない。会社への帰属意識をしっかり持ち、チームワークを大切にすることも心掛けた方が良いだろう。また、実践的な英語ができるに越したことはないが、振る舞いなどが外国人かぶれしていないかなどにも気を配ろう。日本人としてのアイデンティーをしっかり持っていること、つまり日本人としての社会人マナーなどをしっかりわきまえている上でのアプローチが必要だ。

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