【新年ビジネス特集2017】鱒屋インターナショナル

新年 ビジネス特集 2017

Photos: 星川浩介
Photos: 星川浩介

鱒屋インターナショナル

Masuya International Pty. Ltd.

■Web: www.masuyainternational.com.au
■Tel: (02)9211-3144
■設立年度:1993年

<事業内容>
 シドニーで「鱒屋レストラン」「居酒屋 ますや」「鱒屋水産」「SUSHI BAR 誠」「誠BENTO」「MISO」の6業種のレストランを展開。オーナーの定松氏は、人材紹介、教育、貿易、投資を含めた事業もスタート。また、同氏は日本各地の自治体から講演依頼を受け、第一次産品の海外輸出、販売促進の方法、人材育成に関するレクチャーも行っている。

シドニーで6業態の日本食店を運営する「鱒屋インターナショナル」。食を通して日豪の架け橋としてオーストラリアのレストラン業界で長く活躍している同社オーナーの定松勝義氏に、レストラン業を取り巻く状況、今後の事業展開と共に、同社のビジネス・ビジョンなどについて話を伺った。

『豪州でのレストラン業を発展させながら日豪を通じた食材、教育など、今後も更なるチャレンジをして参ります。』

――現在のオーストラリアにおけるレストラン業を取り巻く状況についてお聞かせください。

オーストラリアのレストラン業はこのところIT化が進む中で変化の時代を迎えています。そして、それは飲食店の経営において人材の定着率に大きな影響を与えていると感じています。例えば、15年前までは1つのお店で3~4年間働いていたスタッフが、今では永住者であっても、1~2年働いて技術が身に着いたと感じると店を辞めてしまう状況になっています。これは、インターネットで仕事に関する情報をすぐに見つけることができるようになったことで、レストラン業に携わる人間が自分を売り込みやすい環境になった結果だと思います。

また、グローバル化により食材においても、日本以外で唯一大量に生産されているオーストラリアの「WAGYU」やシーフードなどが中国企業に買い占められたり、世界各地に輸出される状況が起き、食材費が高騰し始めています。そして、世界の有力なレストラン(鼎泰豊(ディン・タイ・フォン)、Pappa Rich、ステーキ・レストランなど)や各国のファスト・フードがフランチャイズの方法で進出してきたことで飲食店間の競争が激化しています。

――これからレストラン業はどのような方向に向かうと思われますか。

オーストラリアのレストラン業は、テナント費や人件費、食材費の高騰などコスト面で大きな課題があります。そこで、レストラン業はいろいろな産業が形を変えていくように、今後は他業種とのコラボレーションと共に、多民族国家という背景に合わせたメニュー開発、「専門店化」を行う方向に向かうのではないでしょうか。

――御社は今後の事業展開としてグローバルな人材採用と育成に力を入れていると伺っています。

鹿児島県霧島市で黒豚、和牛の海外輸出のミーティングを行う
鹿児島県霧島市で黒豚、和牛の海外輸出のミーティングを行う

当社では現在、全体で約250人、国籍としては8カ国のスタッフが働いています。今後も積極的にグローバルな人材採用を行うだけではなく、今年からは日本や韓国、台湾からのワーキング・ホリデー来豪者を日本各地のホテル、レストラン、酒蔵などに紹介する「World Gate Australia」という人材紹介事業をスタートさせます。

また、育成という面で教育事業も今後展開していきたいと考えており、日本料理の学校をここシドニーでフランチャイズの形で始める計画を進めています。シドニーには1,800軒ほどの日本食店があり高級店も増え始めていますが、その中で働く日本人スタッフの比率は5パーセントにも満たないのではないでしょうか。私としては、お店で働く日本人以外のスタッフは本物の日本食を勉強したいのではないかと考えています。日本料理の学校を開くことで、基本的な調理方法だけではなく、衛生管理、器使い、あるいは本物の調味料と食材、日本酒とのマッチングについても指導できるようにしたいと思います。これは、日本の本物の調味料及び食材、日本酒が将来海外で売れる販路作りに役立つはずです。

――レストラン業の枠にとどまらない取り組みをされていますね。

2016年からは貿易部門の事業もスタートさせています。昨年8月に日豪経済連携協定(日豪EPA)でスイカやメロンの関税撤廃が決定しています。そこで、季節的な条件や価格の面を生かし、これら農産物だけでなく高品質の豪州ワインやアンガス・ビーフなどを日本へ輸出していく考えです。そして日本からは、イチゴ、モモ、ナシ、伊予柑などの農産物、日本酒の豪州輸入を今後進めていきたいと思っています。

――御社の今後のビジョン、そしてビジネスの世界で担う役割とは?

日本政府は、20年の東京五輪までに年間4,000万人、30年までに年間6,000万人の訪日外国人観光客の拡大を新たな目標として掲げています。もし、将来的に6,000万人の外国人観光客の訪日を実現できれば、日本経済は大きく潤い再生するでしょう。

しかし、私はオーストラリアでレストラン業に携わる人間として考えていることがあります。まず、日本全国にホテルやレストランを作ったとしても、そこで働く調理や接客の人材がいなければ莫大な数の訪日外国人観光客を受け入れることができません。そのために、世界からのお客様を迎えるための文化、宗教、言葉の違いを理解した人材をオーストラリアで育てていきたいと思います。

当社のビジョンとしては、現在シドニーで展開している6業態を多店舗化し、それぞれの経営スタイルを時代に合わせたものに変化させていきたいと考えています。

最後に、オーストラリアで展開する当社は日本の外食産業の豪州進出を力強く進め、55歳の私は今年1年をかけ社内の人材の更なる育成をすると共に、日豪をかけた今後10年の「大計」をスタートさせます。

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