KINTONE AUSTRALIA本格始動-サイボウズ本社から幹部来豪

kintone Australia本格始動 サイボウズ本社から青野社長ほか幹部来豪

「世界一」のシェアを目指す、日本国内グループウェア最大手のサイボウズ株式会社(東京都中央区、以下サイボウズ)が、アメリカ、中国、ベトナムに続く4つ目の海外拠点として選んだのが初の南半球展開となるオーストラリアだ。同社が現在主力商品として力を入れているクラウド上に様々なビジネス・アプリを作成できるツール「kintone(キントーン)」の販売強化を目的に2016年9月28日、現地法人「kintone Australia」を設立した。それから約2カ月半後となる12月12日、オーストラリア市場への支援強化を目指し、サイボウズ本社から青野慶久社長ほか幹部職員を数名が来豪。日系メディアへの記者発表会を開催した。本記事ではキントーンのオーストラリア市場での今後の展開について記者発表会の内容を元にリポートしていく。 (取材・文=馬場一哉)

オーストラリア市場のポテンシャル

「本日、正式にキントーン・オーストラリアをグランドオープンすることを、ここにご報告させて頂きます」

12月12日、記者発表会で登壇したサイボウズ社、青野慶久社長は真剣な面持ちでそう口にした。その口ぶりは海外拠点として4カ所目となるオーストラリア市場にかける意気込みが感じられるものであった。

「私がオーストラリア市場で特に注目しているのは多様性が実現できている社会であるという点です。多様性はサイボウズ社が非常に大切にしているポイントで、さまざまな環境、様々な能力を持った人びとがしっかりとチームとして機能できる社会を私たちは目指しています」

2016年7月の初来豪時、青野社長はオーストラリアの人の多様性、働き方の多様性に驚かされ、同時に労働環境の整備が日本よりもはるかに進んでいると感じたという。この多様性こそがキントーンを受け入れるための土壌として必要なものだと語る。

自らプレゼンテーションを行う青野慶久・代表取締役社長
自らプレゼンテーションを行う青野慶久・代表取締役社長

「オーストラリアという国は最低賃金の高さなどにも表れていますが、さまざまな政策が不思議なくらいうまくワークしていると感じます。私たちが目指す社会を考えた時にここのカルチャーは魅力的だなと感じました」

また、もう1点重要なのがコンピューターを使って仕事を効率化していくというマインドだそうだ。

「業務を効率化できる便利なツールがあってもそれをお金を払って買うという文化がないエリアはたくさんあります。残念ながら日本もその1つです。導入すれば明らかに時間を削減できるのになお長時間労働で対応しようとします。しかしオーストラリアにはその点でも積極的なカルチャーがあるため、私たちの製品が受け入れられると確信している次第です」

キントーンの強み

サイボウズ社はかつて28%の離職率を持つ過酷な労働環境下に置かれた会社だったが、多様なワーク・スタイルを実現する制度を充実させることで離職率を4%にまで改善した歴史を持つ。「100人いたら100通りの働き方があって良い」という考えの元、ライフステージの変化に合わせて働く時間や場所を組み合わせる働き方を実現。副業許可、子連れ出勤制度などユニークな制度も数多い。青野社長はこうしたサイボウズ社の理念を反映させたキントーンの強みについて話をする。

左から青山賢・チーフ・ビジネス・オフィサー(kintone Australia)、遠藤烈士・営業・マーケティング本部長(kintone Australia)、鷲足博・代表取締役社長(kintone Australia)、青野慶久・代表取締役社長(サイボウズ)、栗山圭太・営業本部長(サイボウズ)、中根弓佳・事業支援本部長(サイボウズ)
左から青山賢・チーフ・ビジネス・オフィサー(kintone Australia)、遠藤烈士・営業・マーケティング本部長(kintone Australia)、鷲足博・代表取締役社長(kintone Australia)、青野慶久・代表取締役社長(サイボウズ)、栗山圭太・営業本部長(サイボウズ)、中根弓佳・事業支援本部長(サイボウズ)

「キントーンの面白いところは業務を便利にするアプリケーションをドラッグ&ドロップで自分で簡単に作ることができ、さらにアプリケーション上でコミュニケーションもできるという点です」

キントーンではデータベースとワークフロー、コミュニケーションの3つの機能を抑えているため、社内の殆どの業務をキントーン上でワン・ストップで実現できると話す。

「営業関連でしたら交通費の申請から日報、商談管理、人事でしたら休日申請のアプリ、サービス部門であればお客様からの問い合わせ履歴や、クレームの対応履歴、マーケティングの人であればイベントに来てくれた人の名刺管理やその後のアプローチ履歴を残すなど、とにかく社内で必要な業務は全てキントーンで可能です。アプリ上で直接コミュニケーションを行えます」

更にキントーンの大きな特徴はクラウド・サービスである点だと強調する。

「ソフトではないのでインストールする必要もなく、バージョン・アップなどの必要もない。サーバーを買う必要もなく、バックアップを取る必要もありません。そういったことはすべてサイボウズがやります」

利用者サイドから見たキントーンの魅力の1つに利用料金の安さも挙げられるだろう。日本円で月額780円という価格で200個までアプリを作ることが可能だという。12月中旬と年内半月を残している時点で、キントーンは前年比180%まで売り上げを伸ばしている。この勢いをはずみに更なるグローバル展開に移行しているのが現在のフェーズだ。

日本企業唯一のガートナー評価

キントーンは元々グローバル市場を意識して作った製品ということもあり、既に中国では既存の商品と合わせて約700社と契約している。アメリカではサンフランシスコにオフィスを構え総勢15人体勢で事業拡大を目指し、ベトナムを中心とした東南アジア市場では営業拠点は現状置いていないものの急成長を果たしている。

他国での展開の事例として中国市場で苦労した点に関してサイボウズ中国の増田導彦・副総経理は話す。

増田導彦・副総経理(サイボウズ中国)
増田導彦・副総経理(サイボウズ中国)

「ご存知の通り、中国は情報規制などITのセキュリティーは独特ですが、クラウド・サービスはすごく伸びているんです。しかし最初は苦労しました。中国では情報を共有しようという意識が極めて希薄で自分の情報は自分で囲い込んでおきたいというマインドが多く、そこを変えるところからスタートしました」

苦労を重ねてきたグローバル展開だがここ数年それが公的に認められるようにもなってきたと青野社長は胸を張る。「米国のITアドバイザリ企業ガートナー社によるソフトウェア・ランキング(編注:Magic Quadrant for Enterprise Platform as a Service, Worldwide 2016)にキントーンが入ったんです。ガートナーに認められるのはグローバル・ソフトや企業にとって大変な難関なのですがこれを日本企業では唯一突破できました。これを励みにしながら、オーストラリアでも私たちのチームワークの概念と共にキントーンを広めていければと思います」

オーストラリアは人口が少ないこともあり、市場の小ささも指摘される。それに対し、青野社長は「シェアを伸ばしていった時に思ったように売り上げが伸びないといった場面にも出くわすとは思いますが、少なくともスタート・アップの時点で気にするほど小さい規模ではありません。採算が取れると私たちは確信しています」と言う。

オーストラリア市場の開拓はまずはシドニーの日系企業を中心にスタートする。キントーン・オーストラリア営業・マーケティング本部長の遠藤烈士氏は「ゆくゆくローカル企業にも声をかけていきますが、1年目に関しては日系企業を中心に90~100社での導入を目標としています」と具体的な数字を語った。

記者会見後、サイボウズ社は同会場で日系コミュニティーのビジネス層や個人事業主の人々を対象にセミナーを開催。オーストラリア市場の可能性とキントーンの魅力を訪れた50人以上の人々にPRした。日本のグループウェア最大手サイボウズ社の挑戦がここオーストラリアでどのような展開を見せるのか。今後も注目しながら見ていきたい。

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