ジュリーク・インターナショナル 竹澤隆史 最高執行責任者

進出日本企業
●PROFILE
たけざわ・たかふみ
ジュリーク・インターナショナル最高執行責任者(COO)
中央大学商学部卒。1994年ポーラ入社。国内販売企画を経て、98年海外事業部アジア代理店担当。02年ポーラUSA(ロサンゼルス)。07年仏化粧品メーカーのオルラーヌとの合弁企業「オルラーヌジャポン」代表。12年4月より現職。

進出日本企業  トップ・インタビュー
第6回

ジュリーク・インターナショナル

竹澤隆史 最高執行責任者(COO)

自然のリズムに合わせて植物の生命力を最大限に高める「バイオダイナミック農法」。ジュリークは、その理念を実践して自社農園で原料から一貫生産しているオーストラリアの自然化粧品ブランドである。同社を2012年に傘下に収めた日本の化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングスの竹澤隆史氏(ジュリーク・インターナショナル最高執行責任者=COO)に話を聞いた。

(インタビュー=ジャーナリスト・守屋太郎)

 

自然農法が育むプレステージ・コスメ
ポーラ・グループ海外展開の橋頭堡に

 

M&A軸にグローバル化加速

—日本の老舗化粧品メーカーであるポーラが、オーストラリアの自然化粧品メーカーであるジュリークを買収した狙いは?

 1929年創業のポーラは、訪問販売を屋台骨とする国内3位の大手化粧品メーカーです。2006年に訪問販売を主力とするポーラ、通信販売のオルビスなどの事業会社を束ねる持ち株会社ポーラ・オルビスホールディングスを設立。10年に東証1部に上場しました。現在、企業価値の拡大を図るためグローバル化を強力に推進しているところです。

ポーラ・ブランドでの海外展開は50年近く前から行ってきましたが、なかなか思うように進みませんでした。オーストラリアでも現地法人から代理店経由に移行して、細々と継続してきたという現実がありました。

そこで、上場を機に自社ブランドの海外展開からM&A(企業の合併・買収)による規模拡大へと方向性を大きく転換しました。11年7月に米国のスキンケア・ブランド「H2O+」、12年2月にジュリークをそれぞれ買収したのもその一環です。

 

—自動車や家電などの耐久消費財と違い、ライフスタイル商品は日本のものが文化や習慣が異なる海外で売れるとは限りません。そこで、良いパートナーに投資して全体の企業価値を高めるという選択肢が出てくるわけですね。では、なぜジュリークに白羽の矢を立てたのでしょう?

オーストラリアだからというわけでは必ずしもありません。1つは小粒な割にグローバル化が非常に進んでいるという点です。ジュリークは年間売上高こそ約2億豪ドルに満たないまだまだ小規模なブランドですが、オーストラリア国内売上は全体の3割にも満たず、海外比率がずっと大きいのです。日本では大手ですがグローバルな経験に乏しいポーラが最も必要とするものを、ジュリークは持っていました。

2つ目は、安全・安心で環境に優しいオーガニック化粧品という力強いコンセプトです。ジュリークは、ドイツから移住した化学者のユルゲン・クライン博士とウリイケ・クラインの夫妻が1985年に創設しました。肥沃な土壌と地中海気候に恵まれた南オーストラリア州アデレード・ヒルズで、ドイツ発祥のバイオダイナミック農法によって原料を栽培し、自然化粧品の生産を開始したのです。

創業時10エーカーだった農場は現在では155エーカーまで広がりましたが、現在でも生産方法を忠実に守り、自然由来の原料を95%以上使用しています。現場のスタッフは自然化粧品という明確なアイデンティティーに誇りに思って仕事をしています。

 

ナチュラルなバラの香りが人気

進出日本企業
効果の高いハーブの凝縮エキスと厳選された植物オイルがブレンドされた「ハーバル・シリーズ」

—事業の現況はいかがでしょうか?

売上高は5年連続で2ケタ成長を続けてきました。特にポーラが買収した昨年12月までの1年間は前年比20%以上の高い伸びとなり、売上高、生産数量ともに過去最高を更新しました。月間売上高も昨年12月に過去最高を記録しました。本拠地のオーストラリアのほか、米国、日本、中国、香港、英国に海外拠点を持ち、代理店販売を含め19カ国・地域に輸出しています。

主な海外市場のおおまかな売上比率は、香港を含めたグレーター・チャイナが35%、米国が約10%、日本が8〜10%といったところです。最も伸びが大きいのが中国で、12年には20店オープンして合計70店舗を営業しています。今年はさらに20〜25店舗を出店する計画です。中国人の海外旅行需要の急激な拡大を背景に、世界中の免税店での販売も拡大しています。

オーストラリア国内も好調です。化粧品の市場規模が15億豪ドルほどしかない中で、百貨店の販路のプレステージ商品はそのうちざっと5億豪ドル。その百貨店の中でもスキンケア市場だけを見ると、ジュリークはフランスのクラランスに次いで2位に付けています。2大百貨店ではほぼ全店舗で取り扱っていますし、直営コンセプト・ストアも全国に20店あります。代表的なオーストラリア製品としてプレゼンスが高まっています。

 

—日本の消費者にはどのように受け入れられているのでしょうか?

日本でもオーストラリアの有名ブランドとして知られています。ジュリークと言えばローズのイメージが強いですね。ナチュラルなバラの香りを持つコスメはジュリークの看板商品です。ローズのハンドクリームや化粧水が好評を得ています。日本市場で需要が大きいクレンジング(化粧落とし)も、ローズの香りがする商品として人気があります。

 

グループ化によるシナジー効果に期待

進出日本企業
バイオダイナミック農法によってバラなどの原料を栽培するアデレード・ヒルズの自社農場

—買収からまだ1年あまりですが、現時点では狙い通り順調に推移しているようですね。ジュリーク事業の目下の課題と将来に向けたビジョンを聞かせてください。

今後、世界的にメジャーな化粧品ブランドに育てていくには、オーストラリア発のコンセプトだけではなく、いかにそれぞれの市場に合わせた戦略を進めるかが課題となります。現在、アジア市場向けの商品開発をスタートしていますが、そこはまさにグループ化によるシナジー(相乗効果)が生かせるポイントです。世界的に高い評価を受けているポーラの研究開発力はジュリークのさらなる成長につながるでしょう。

一方、ジュリークはポーラ・グループの中で最もグローバル化が進んだ事業会社です。近い将来、年間売上高約2. 5億豪ドル、グループ全体のシェア10%以上を実現するのが目下の目標です。ジュリークを橋頭堡として、ポーラ・グループ全体のグローバル展開につなげていきます。

ジュリークでは、89%の廃棄物を再使用、または再利用し、昨年だけで2,000本のオーストラリア原産の木を植樹して温室効果ガスの排出量を大幅に削減するなど、環境保全の社会貢献(CSR)はブランドのアイデンティティーの1つです。こうした取り組みについても、グループに積極的にアピールしていきます。

 

<会社概要>
●英文会社名:Jurlique International Pty. Ltd.
●企業形態:ポーラ・オービスホールディングスが100%出資する子会社
●代表者:竹澤隆史・最高執行責任者(COO)
●拠点:アデレード(本社)、シドニー(販売拠点)、米国、日本、中国、香港、英国
●従業員数:約800人(販売員、海外拠点を含む)
●主な事業:バイオダイナミック農法で生産した原料を使用したスキンケア商品の生産・販売
<沿革>
1985年、ドイツから移民した化学者ユルゲン・クライン博士夫妻がSA州アデレード・ヒルズで創業。
2012年、日本の化粧品大手ポーラ・オルビスホールディングスが買収。
 


 
<トップに聞く10の質問>
1. 座右の銘:「有言実行」
2. 今読んでいる本:「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹著)
3. 豪州の好きなところ:緑豊かな大自然と恵まれた気候、ワークライフ・バランスの充実、花粉症にあまり悩まされないところ
4. 外から見た日本の印象:世界でも十分にやっていける実力があるのに、負け癖が付いてしまっていて内向きになっている。
5. 好きな音楽:80〜90年代の洋楽ロック・ポップス
6. 尊敬する人:稲森和夫(京セラ創業者)
7. 有名人3人を食事に招待するとしたら誰?:盛田昭夫(ソニー創業者の1人)、本田宗一郎(ホンダ創業者)、稲森和夫
8. 趣味:テニス、ゴルフ、ジョギング(体を動かすこと)などスポーツ全般
9. 将来の夢:ハワイで畑を耕して自給自足のゆっくりとした生活ができたら…
10. カラオケの十八番:沢田研二やクイーンのヒット曲

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る